大阪障害者センター 壁ニュース

障全協第53回全国集会・中央行動を実施!

「壁ニュース」テキスト版 2019/11/29

障全協第53回全国集会・中央行動を実施!
~交渉後「養護学校義務制40周年集会」も開催~


 障全協は、11/24-25第53回全国集会を開催し、翌日には、恒例の各省交渉を開催しました。
 全国集会では、中内会長のあいさつ
・きょうされん・全障研からの連帯のあいさつに続き、基調報告は、以下のようなポイントが提起されました。

【基調報告骨子】
 53回全国集会・中央行動は、安倍政権による「暮らしと平和、民主主義」へのかってない攻撃の中で開催されています。「戦争する国づくり」の総仕上げともいえる憲法9条「改正」、さらなる負担増と給付切り下げを企む「全世代型社会保障」改革の推進、そして本年10月からの消費税増税の強行など、これまで以上の暮らしと平和を守る国民共同による運動、その運動への障害者運動の合流が今日ほど求められている時はありません。
●障害者と災害・防災に対する運動を!
●安倍政権による「暮らしと平和・民主主義」への攻撃に反撃を!
・憲法改定への危険な動き
・社会保障をめぐっても重大な局面をむかえています。社会保障の基本は「自助・互助・共助・公助jとする社会保障制度改革推進法が2012年に強行されて以降、社会保障・社会福祉関係法・制度が全面的・連続的に見直し
●当面する障害者施策の動向と運動課題
が提起され、各講演が続きました。
○記念講演「ハンセン病問題から人間の尊厳を考える」(神谷誠人弁護士)『ハンセン病訴訟から学んだ人間の尊厳とは︎「被害者」は決して弱々しい存在ではない︎発展可能性を持った、生命力あふれる存在︎生産性や経済合理性というモノサシ(優性 思想)による偏見差別が、その「力と輝き」を奪っている!差別偏見のない社会実現に向かって、ともに がんばりましょう!』○特別報告「障害児者をもつ家族の暮らしと健康の実態調査報告」((暮らしの場を考える会・播本裕子氏)「天海訴訟の現状報告と訴え」(天海さん)が報告され、参加者アピールが確認されました。

【集会アピール】
 私たち障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会は、本日、第53回全国集会を開催し、障害者差別・排除、権利侵害を許さない障害者権利条約にふさわしい施策の実現を求めて、これまで以上に運動を前進させることを誓い合いました。また、暮らしと平和を脅かす憲法改悪を絶対に許さない国民的な共同行動にも積極的に合流していくことを決意し合いました。
「障害者は生きる価値がない」と重度の障害者を殺傷した神奈川県「津久井やまゆり園事件」から3年半が経過しました。この間に、旧優生保護法による強制不妊手術問題、中央省庁・地方公共団体における障害者雇用偽装問題、そしてハンセン病家族に対する差別・偏見問題など、優生思想、障害者差別・排除に関わる問題が次々と表面化し、大きな政治問題になっています。
 これらの問題は、いま突然に表面化したものではなく、「不良の子孫の出生を防止する」ことを目的とした「優生保護法」(1948年制定)、ハンセン病患者の隔離・絶滅政策をすすめた「らい予防法に関する件」(1907年制定)など、わが国政府の50年、100年におよぶ「負」の歴史の中でっくり出されたものといえます。
「なぜ、生きる価値がないのか」「なぜ、生産性がないのか」、私たちは国連・障害者権利条約の締約国である政府に対し、その違法性を認めさせ、徹底した原因究明・再発防止、そして被害者救済を引き続き求めていかなければなりません。あわせて、障害者権利条約や障害者差別解消法などの内容を多くの国民に知らせ、理解と共感を得ていくとりくみもすすめていかなければなりません。
 いま、安倍政権がおしすすめる「1億総活躍社会の実現」「未来投資戦略」そして「人生100年時代構想」に伴う社会保障「改革」は、厚生労働省の「枠」をこえ、財務省・内閣府・経済産業省など主要省庁と財界が関わる国家プロジェクトとして位置づけられ、「全世代型社会保障改革」として具体化されようとしています。この「改革」は、単に社会保障関係予算の削減・
抑制というだけでなく、社会保障理念のいっそうの変質、営利企業参入による市場化、そして全世代を対象にこれまで以上の負担増と給付切り捨てを国民に押しつけようとしています。来年の通常国会には、「働き方改革」と連動させた支給開始年齢の引き上げ、在職老齢年金の見直しなどを内容とする年金法「改正」案、介護保険利用料の2割化・ケアプラン作成の有料化、要介護1・2の保険外しなどを内容とする介護保険法「改正」案などが提出されようとしています。いずれの「改正」案もかつてない負担増と給付切り下げを内容としているだけに、これを許さない年金・介護・医療関係団体、高齢者・子ども関係団体、そして事業経営者・労働者との国民的な共同行動の推進が今日ほど求められている時はありません。
 私たち障害者・家族にとっては、介護保険優先原則問題(65歳問題)の解消、障害年金の認定制度の改善と生活できる年金保障、自治体医療費助成制度への財政支援と国の制度化、そして家族依存からの脱却などの切実な願いを阻む「改革」にならないよう、運動を強めていかなければなりません。
国民のみなさん!
障害者・家族のみなさん
 安倍政権による「暮らしと平和・民主主義」への攻撃は、国会での数の力を背景に、これまで以上に強められようとしています。「働き方改革」、F全世代型社会保障改革」、消費税増税等の「改革」が「格差・貧困」問題をさらに深刻化させ、障害者をはじめとした社会的弱者に対する人権侵害、差別・排除の問題を増長させることが懸念されます。なによりも、安倍政権が最重要課題としている「戦争する国」づくりの総仕上げとしての9条改憲、2020年改憲
を現実のものとする危険な動きは絶対に許すことはできません。
 私たち障害者・家族は、「平和の中でこそ、しあわせに生きられる」ことを訴え、引き続き多くの国民のみなさんと力を合わせて、「憲法改悪反対」「生存権保障」の運動を前進させることを誓います。ともに、がんばりましょう。
 障害者の生活と権利を守る第53回全国集会 参加者一同

【各省交渉概要】
◇第一分科会(老健局・障害福祉)
○利用料負担問題について厚労省は、部会での議論内容には触れずに従来の説明に終始しました。介護保険制度は応益負担か応能負担かという問いかけには、適切に組み合わせた負担制度と表明しました。参加者からの「負担が大きく本当に使えない」との切実な声に対して、「様々な声を受けとめて検討したい」というだけでした。

○第2号保険者拡大は、介護保険部会で出されている意見を紹介し慎重に議論していくと言及。また先日、共同通信が「ケアプラン有料化が確定した」という報道をしたことに対しては、「当方からは情報を提供していない。様々な意見がある」と言うだけでした。

○ヘルパー不足については、生産性向上やICTの活用など、厚労省として力を入れている内容について言及。「生産性向上とは何を指すのか」という問いかけには、「記録などいわゆる間接業務の効率化を図り、直接支援に充てる時間を増やしながら質的な向上を図ること」と説明しました。

○総合支援法関係は、「基本合意」・「骨格提言」・「障害者権利条約」等に基づいて進めているという厚労省に対して、中途障害の支援をしている事業所から発言してもらい、実態に基づいた制度設計(利用料負担等)を進めるべきではないかと指摘しました。発言原稿を渡し、後日実態に関する資料をこちらかも提供することとしました。

○65歳問題(介護保険優先原則)では、浅田訴訟で確定した判決内容に関しての厚労省の認識や取り組みについて議論が集中しました。「個別の案件にしない」といいつつ、高裁判決の解釈等やその後の対応について私たちのとらえ方とかみ合いませんでした。浅田訴訟以降も続いている自治体間格差(介護保険への移行を強要・サービスの打ち切りにつながりかねない対応等)という会場から指摘に対しても十分な答えはなく、改めてこの問題を追及していくことにしました。昨年4月から始まっている新高額(介護保険利用に関わる助成制度)について、厚労省が示していない要件を科している自治体の存在が会場から指摘され、厚労省から確認をとってもらうこととなりました。(一部第7条は、覊束処分(きそくしょぶん)等の発言も?)

○その他入院時のヘルパー利用(重度訪問介護に限られている)について、「知的障害の重度の方の実態から充実すべきではないか」「来年4月に改正された民法の施行が迫る中、早急な対応が必要ではないか」と言った意見が出され、今後も継続して話し合うこととなりました。

◇「障害児者の暮らしの場を考える」特別分科会
○圧倒的に足りない暮らしの場、支援にあたる職員の処遇の劣悪な状況、そこからくる恒常的な人材不足など、実態と制度のあまりの乖離のなか、障害者と家族、支援する職員が、実態と願いを熱く語り共有しあった。
 それを基に厚労省との懇談に臨んだ。障害者の高齢化・重度化が進むなか、これまで経験をしたことのない厳しい状況に向き合っていることの訴えは、厚労省職員の心を確実に揺さぶったと認識した。
※今回も、朝日放送のカメラが入り取材(3年目)

◇教育関係(文科省)
 特筆すべきは、この日の午前の障全協による厚労省交渉で、特別支援学校の設置基準に関係して「検討する」と文科省が明言しました。

養護学校義務制40年~いまこそ障害児の教育権を問う全国集会~
 11/25午後、障全協・きょうされん・全障研・全教の共催で、参院議員会館講堂で開かれました。

○全障研 越野和之委員長の基調報告
※養護学校義務制とは何であったのか(特殊教育の社会効用論:世の役に立つ人づくりからの脱皮・学校に子供を合わせるのではなく、子供にあった学校を・すべての子供にその能力に応じたひとしく教育を)
 障害児が、教育からも排除されてきた歴史の中で、その教育的取り組みの輝きが、その後の様々な運動へと転換してきた歴史に学ぶことが大切です。
※いまこそ障害児の教育権を問う(権利条約から)
・人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること
・障害者がその人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的能力をその可能な最大限まで発達させること
・障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること

○特別報告「障害者権利条約のいま」
○リレートーク
✳︎我が子が学校に行けた(中内障全協会長)
✳︎卒業後の働く場づくり(斎藤きょうされん理事長)
✳︎権利としての障害児教育のいま(佐竹全教障害児教育部長)
フロアー発言と続き、学びの多い集会となりました。