大阪障害者センター 壁ニュース

平成31年度障害関係予算案を閣議決定!

「壁ニュース」テキスト版 2018/12/28

平成31年度障害関係予算案を閣議決定!
~新年度予算の特徴は?~

 この間、社会保障審議会障害者部会(第92回)(12月12日開催)・「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&AVer5(12月17日)」の送付・障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第4回)資料(12月20日開催)等で、新年度予算関連の提起等も行われる中、12/21関連予算案が閣議決定されました。
 一応、その概要をお知らせします。

【障害保健福祉部予算案の概要】
◆予算額
1兆8,648億円 →2兆22イ意円(十1,374億円、十7.4%)
◆障害福祉サービス関係費(自立支援給付費十障害児措置費・給付費十地域生活支援事業費等)
1兆3,810億円 → 1兆5,03了億円(十1,227億円,+8.9%)

【主な事項】括弧内は30年度予難買

■ 良質な障害福祉サービス,障害児支援の確保 1兆4,542億円(1兆3,317億円)
①消費税率引上げに伴う障害福祉サービス等報酬改定率 0.44%
※1 消費税率8%引上げ時の対応と同様に直近の平成29年障害福祉サービス等経営実態調査の結果を用いて課税経費割合を算出し、これに税率引上げ分(110/108-1)を乗じて改定率を算出する。
※2 改定率0.44% = 23.3% (障害福祉サービス等全体の課税経費割合) × 110/108-1)
?新基本報酬単位数
= 現行の基本報酬単位数×(基本報酬単位上乗せ率+ 加算に係る上乗せ率
②障害福祉人材の処遇改善  93.6億円
【報酬改訂検討地チームでの議論】
【対応案】
(1)加算の取得要件
○ 加算対象のサービス種類として、現行加算において対象としていないサービスも評価すべきとの意見もある一方で、今般の更なる処遇改善は、これまでの数度にわたり取り組んできた福祉・介護職員の処遇改善をより一層進めるものであることから、これまでの処遇改善加算と同様のサービス種類とする。
○ 長く働き続けられる環境を目指す観点から、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保し、これらの取組を一層推進するため、現行の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得していることを加算の取得要件とした上で、さらに以下の①、②を加算の取得要件としてはどうか。
① 処遇改善加算の職場環境等要件に関し、職場環境等についての改善の取組を複数行っていること
② 処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載などを通じた見える化を行っていること
(2)加算率の認定
 福祉・介護職員の確保に向けた処遇改善を一層進めるとともに、人材定着にもつながるよう、経験・技能のある勤続年数10年以上の介護福祉士等が多いサービスを高く評価することとし、サービス種類毎の加算率は、それぞれの勤続年数10年以上の介護福祉士等(※)の数を反映して加算率を設定することとした上で、同じサービス種類の中であっても、経験・技能のある勤続年数が長い介護福祉士等の数が多い事業所について、更なる評価を行うこととしてはどうか。
※ 現在、介護福祉士等の資格保有者又は職種に就く者であって、同一法人での勤続年数が10年以上の者
※ 介護人材の議論では、介護福祉士の配置が手厚いと考えられる事業所を評価する加算として、サービス提供体制強化加算のほか、特定事業所加算、日常生活継続支援加算の取得状況を加味して加算率を2段階に設定する案を提示している。
○ サービス種類内の加算率
・具体的には、障害福祉人材においては、「福祉専門職員配置等加算」の取得状況を加味して加算率を2段階に設定してはどうか。
・また、「福祉専門職員配置等加算」が無いサービスについては、福祉専門職員の配置の手厚さを簡易に把握することが困難であることから、同じサービス種類内での加算率に差を設けないこととしてはどうか。なお、介護人材の議論で加算案として提示されている「特定事業所加算」については、加算の取得要件には専門職員の配置以外の要件も一部含まれているが、その取得の有無で加算率に差を設けることについて、どのように考えるか。
【論点Ⅱ】
○具体的な配分の方法
・ 経験・技能のある介護職員において、月額8万円の処遇改善となる者又は処遇改善後の賃金が役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)以上となる者を設定・確保すること。これにより、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を実現。
※ 小規模な事業所で開設したばかりである等、設定することが困難な場合は合理的な説明を求める。
・ 経験・技能のある介護職員は、平均の処遇改善額がその他の介護職員の2倍以上とすること。
・その他の職種は、平均の処遇改善額がその他の介護職員の2分の1を上回らないこと(※)。また、更なる処遇改善において、リーダー級の介護職員について他産業と遜色のない賃金水準を目指す中で、改善後の賃金額が役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)を超えない場合に改善を可能とすること。
※ 平均賃金額について、その他の職種がその他の介護職員と比べて低い場合は、柔軟な取扱いを可能とする。
③就学前の障害児の発達支援の無償化  6.9億円

■ 地域生活支援事業等の拡充【一部新規】495億円(493億円)
・地域生活支援事業等の拡充【一部新規】 495億円(493億円)
 意思疎通支援や移動支援など障害児・障害者の地域生活を支援する事業について、地
 域の特畦や利用者の状況に応じ、事業の拡充を図る。また、地域生活支援事業に含まれる事業やその他の補助事業のうち、国として促進すぺき事業について、「地域生活支援促進事業」として位置付け、質の高い事業実施を図る。

■ 障害福祉サービス提供体制の整備 195億円(72億円)
・障害福祉サービス提供体制の整備(社会福祉施設等施設整備費)195億円(72億円)
 障害者等の社会参加支援や地域生活支援を更に推進するため、就労移行支援事業等を行う日中活動系事業所やグループホーム、障害児支援の拠点となる児童発達支援センター等の整備を促進するとともに、耐震化整備や非常用自家発電設備整備等の防災・減災対策の強化を図る
【平成30年度二次補正予算案】
障害者支援施設等の耐震化整備、非常用自家発電設備整備等 50億円
 障害者支援施設等における耐震化整備や倒壊の危険性のあるブロック塀等の改修に加え.大規模停電時に医療的配慮が必要な入所者等の安全を確保するための非常用自家発電設備の整備に必要な経費を補助する。
・障害児・障害者への良質かつ適切な医療の提供 2,460億円(2,452億円)
 心身の障害の伏態を軽減し、自立した日常生活等を営むために必要な自立支援医療(精神通院医療、身体障害者のための更生医療、身体障害児のための育成医療)や障害児入所施設等を利用する者に対する医療を提供する。また、自立支援医療の利用者負担のあり方については、引き続き検討する。
・特別児童扶養手当,特別障害者手当等   1,681億円(1,637億円)
 特別児童扶養手当及び特別障害者手当等の支給を行う。
・障害者支援施設等におけるロボット等の導入モデル事業の実施【新規】15百万円
 障害福祉の現場におけるロボット技術の活用による介護業務の負担軽減等を推進するため、ロボット等の施設・事業所への導入を支援するとともに、その効果を検証するモデル事業を実施する。
・障害児・障害者虐待防止、権利擁護などに関する総合的な施策の推進
・重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援  8.9億円(10億円)
 重度障害者の地域生活を支援するため、重度障害者の割合が著しく高いこと等により訪問系サービスの給付額が国庫負担基準を超えている市町村に対する補助事業について、小規模な市町村に重点を置いた財政支援を行う。
・強度行動障害を有する者の支援を行う職員の育成
 強度行動障害を有する者等に対し、適切な支援を行う職員の人材育成を進めるため、
 都道府県による強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)を実施する。
・医療的ケア児に対する支援【一部新規】1.3億円(68百万円)及び75百万円(1.8億円)
 地域において、医療的ケア児を受け入れる体制を促進するため、医療的ケア児等コーィネーターの配置や医療的ケア児等への支援者の養成を行うとともに、地域で関係者が協議を行う場の設置や医療的ケア児等の家族への支援を行うなど、総合的な支援を実施する。
 また、ICTを活用し、外出先でも適切な医療を受けられる体制の整備を図る。
・教育と福祉の連携の推進【新規】  地域生活支援事業等の内数及び3百万円
 市町村内における家庭・教育・福祉の連携促進及び地域支援対応力の向上を図るため、発達障害、医療的ケア児等についで協議を行う場の設置や福祉機関と教育機関等との連携の役割を担うコーディネーターを市町村に配置する。
 また、国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、教育分野や福祉分野における発達璋害者支援指導者向けの研修カリキュラムを作成する。
・主任相談支援専門員の養成等 15百万円(14百万円)
 地域における相談支援等の指導的役割を果たす主任相談支援専門員を養成するための研修を実施するとともに、主な配置先となる基幹相談支援センターにおける設置促進及び機能強化を図るための取組を実施する。
・重度訪問介護利用者の大学等の修学支援 
 重度訪問介護の利用者が大学等に修学するに当たって必要な身体介護等を、大学等における支援体制が構築されるまでの間において提供する。

■ 芸術文化活動の支援の推進 3.0億円(2.8億円)

■ 視覚障害者等の読書環境の向上【一部新規】  3.8億円(|.8億円)
 マラケシュ条約の批准(平成31年1月発効)や著作権法の改正(平成31年1月施 行)を踏まえ、障害者の読書環境の向上を一層推進するため、障害者が利用しやすい図書の製作やサピエを活用した提供を促進する。また、地1或の障害者に対するIcT機器やサピエの利用活用支援を行い、情報アクセシビリティの向上を図る。

■ 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築【一部新規】5.7億円(5.6億円)
 精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、住まいの確保支援を含めた精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指す。このため、障害保健福祉圏域ごとの保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、都道府県等と精神科病院、その他医療機関、地域援助事業者、市町村などとの重層的な連携による支援体制を構築し、地域の課題を共有した上で、地域包括ケアシステムの構築に資する取組を推進するとともに、新たに精神障害者に対する地域住民の理解を深めることを目的としたシンポジウムの開催等の普及啓発を実施する。
・精神科救急医療体制の整備【一部新規】(一部後掲)  17億円(17億円)
 地域で生活する精神障害者の病状の急変時において、早期に対応が可能な医療体制及び精神科救急情報センターの相談体制を確保するため、引き続き地域の実隠に応じた精神科救急医療体制を整備する。
 また、依存症患者力ち夜急医療を受けた後に適切な専門医療や支援等を継続して受けられるよう、依存症専門医療機関等と精神科救急医療施設等との連携体制を構築する。
・心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備の推進   189億円(180億円)

■ 発達障害児・発達障害者の支援施策の推進【一部新規】 3.8億円(4.1億円)

■ 障害者に対する就労支援の推進 14億円(12億円)
・工賃向上等のための取組の推進
・障害者就業・生活支援センター事業の推進
・農福連携による障害者の就農促進
・工賃等向上に向けた全国的支援体制の構築 12百万円(12百万円)
■ 依存症対策の推進【一部新規】8.1億円(6.1億円)

 なお、これ以外に、以下の予算案も入手できています。
◇精神・障害保健課予算案
◇障害者雇用施策関係予算案
 いよいよ、年明けから本格的な予算編成等となりますが、消費税引き上げ問題など大きな課題を抱えていることや、防衛関係予算の拡張等に関する批判などもあり、当該予算がそのまま承認されていくかは不透明なところもあります。
 ただ、その方向性等を見定めながら、早目に対応を図っていくことも大切となります。
 新年も年明け早々様々な動きが注目されていますが、引き続き全体的情勢に注目しておくことが大切となりそうです。 引き続き適時情報提供を行ってまいりますのでよろしくお願いします。