大阪障害者センター 壁ニュース

これからの障がい・難病・医療を考える懇談会を開催!

「壁ニュース」テキスト版 2022/02/02

これからの障がい・難病・医療を考える懇談会を開催!
~2022年度診療報酬改定~私たちの医療はどう変わるの?~

 2/1保険医協会等が主催する「これからの障がい・難病・医療を考える懇談会」~2022年度診療報酬改定~私たちの医療はどう変わるの?~が開催されました。
 懇談会では、診療報酬改定に向けて、保険医協会から報告があり、その後、難病・障害者団体等から報告懇談が行われました。

【2022年度診療報酬改定~私たちの医療はどう変わるの?~報告概要】
◇診療報酬改定基本方針
診療報酬改定について
12月22 日の予算大臣折衝を踏まえ、令和 4 年度の診療報酬改定
は、以下のとおりとなった。
1診療報酬 0.43
※1 うち 、 ※2~5を除く改定分 0.23
各科改定率
医科 0.26
歯科 0.29
調剤 0.08
※2 うち、看護の処遇改善のための特例的な対応 0.20
※3 うち、リフィル処方箋(反復利用できる処方箋)の導入・活
用促進による効率化 ▲ 0.10 %(症状が安定している患者について、医師の処方により、医療機関に行かずとも、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる 、 分割調剤とは異なる 実効的な方策を導入することにより、再診の効率化につなげ、その効果について検証を行う)
※4 うち、不妊治療の保険適用のための特例的な対応
+0.20
※5 うち、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限
到来 ▲ 0.10
なお、歯科・調剤分については、 感染防止等の 必要な対応に充てるものとする。
2.薬価等
① 薬価 ▲ 1.35
※1 うち、実勢価等改定 ▲ 1.44
※2 うち、不妊治療の保険適用のための特例的な対応
+0.09
② 材料価格 ▲ 0.02
 なお、上記のほか、新型コロナ感染拡大により明らかになった課題等に対応するため、良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点から、次の項目について、中央社会保険医療協議会での議論も踏まえて、改革を着実に進める。
・ 医療機能の分化・強化、連携の推進に向けた、提供されている医
療機能や患者像の実態に即した、看護配置7対1の入院基本料を含
む入院医療の評価の適正化
・ 在院日数を含めた医療の標準化に向けた、DPC制度の算定方法
の見直し等の更なる包括払いの推進
・ 医師の働き方改革に係る診療報酬上の措置について実効的な仕組
みとなるよう見直し
・ 外来医療の機能分化・連携に向けた、かかりつけ医機能に係る診
療報酬上の措置の実態に即した適切な見直し
・ 費用対効果を踏まえた後発医薬品の調剤体制に係る評価の見直し
・ 薬局の収益状況、経営の効率性等も踏まえた多店舗を有する薬局
等の評価の適正化
・ OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲の見直しなど、薬剤給付の適正化の観点からの湿布薬の処方の適正化

◇解説
○受診時定額負担
・対象病院の拡大
※フリーアクセスの防止

○かかりつけ医制度
・かかりつけ医と主治医
・小児かかりつけ医1の導入
※フリーアクセスの防止

○リハビリテーション
・維持期リハ:2019廃止、厳格化
・機能的自立度評価法(FIM)

○オンライン診療:3か月に一度は対面診療
・疾病の拡大:糖尿・慢性肝炎
・電話初診・再診:7日処方
・施設入所者の活用評価
・診療前相談:全額患者負担
・マイナンバーカードのつなぎ活用:5年ごとの更新

○後発医薬品提供体制

○リフィル処方
・30日*3回分の処方
・分割調剤からさらに発展
・薬剤師のチェック
※管理が難しいとの意見も
※医療費抑制と関連ビジネスの拡大

○OCT薬品:一般的市販薬:87薬品
・・セルフメディケーション税制の促進
スウィチOTC:薬剤の保険外し

○薬の保険外し:ビタミン剤・うがい薬・湿布薬(35枚まで)・保湿薬
※看護師の処遇改善は、大病院だけで限定的、結局声だけで実際は、医療現場への反映はほとんどない状況

【各団体からの報告】
○難病連:松本
・福祉医療が大きな問題

○障連協:塩見
・コロナ禍でヘルパー利用など制限があり、様々なもので対応が困難

○福保労:坂野
・コロナ禍での感染対応に苦慮している

○障連協:井上
・入院時の介護や個室化等の問題は、新型コロナ禍でも深刻な問題となっている、ぜひ医療とも共同の運動のあり方を考えてほしい。

 新型コロナ禍でまさに医療崩壊等の危機が叫ばれる中、こうした対策での改定というより、ますます診療抑制や医薬品の保険外し等が進めば、福祉医療制度外の自己負担がますますじょちょうされることになります。
 また、維持期リハの打ち切りなどやはり障害者医療への配慮がない中、医療と福祉に連携の運動が求められます。

グループホームマンション利用訴訟で判決
(毎日新聞 2022/1/20より転載)

 1/20、障害者が共同で暮らすグループホーム(GH)の入居について、大阪市内の分譲マンションの管理組合が住宅以外の使用を禁じた管理規約に違反するとして、GHを運営する社会福祉法人に利用停止を求めた訴訟で、大阪地裁(龍見昇裁判長)は20日、組合側の請求を全面的に認め、部屋の利用禁止と違約金約85万円の支払いを命じました。法人側は控訴する方針とされています。
 地裁は判決の確定前でも立ち退きを強制できる仮執行を認めなかったため、障害者たちがただちに退去する必要はないとしています。
 判決などによると、法人は約20年前からマンションの2部屋を借り、現在は知的障害がある40~70代の女性6人が暮らす。組合は2016年に消防の指摘でGHの運営を把握。管理規約に違反しているとして法人に退去を求めた。管理規約にGHの利用を禁止する規定を追加した後も退去に応じなかったため、マンションの臨時総会を経て提訴していたものです。
 法人側は「部屋は利用者が毎日暮らす住居で規約違反ではない。一連の対応は障害者差別にあたる」と反論していました。
 龍見裁判長はGHが利用者の生活拠点になっていることを認める一方、GHの入居で福祉施設などに対する消防法の規定が適用されていると指摘。マンションが特例で免除されている防火設備の追加設置が将来的に必要になり、組合に多額の費用負担が生じる恐れがあるとして、「規約で予定している管理の範囲を超えている」と結論付けました。
 厚生労働省によると、GHの利用者は21年4月時点で約14万人。一部の調査では、約3割がマンションなどの集合住宅を利用しているとの報告がある。
 判決後に大阪市内で記者会見した法人側代理人の藤原航弁護士は「全国では地域の受け皿としてマンションで運営しているGHも多く、判決の悪影響が懸念される」と訴えた。組合側は「差別の意図はなく、マンションの共同の利益を認めた正当な判決だ」との談話を発表しました。

 現在でもGH整備等が様々な要因で進まない現状があり、今回のこうした判決がさらにその整備に歯止めがかかることも予想され、今後の対応が求められます。

「ひきこもり人権宣言」を発表!

 昨年末12/23、ひきこもり当事者らの団体が全国初となる「ひきこもり人権宣言」を発表しました。その背景には、いまだに根深く残る「ひきこもる」という行為に対する偏見がある。「引き出し屋」と呼ばれる強引な手法を用いる民間支援業者と、その様子を放映するテレビなどのメディアが今も続けていることへの警鐘として、「暴力的「ひきこもり支援」施設問題を考える会」等も協力して発表されたものです。
 8050問題などとも連動する状況があり、こうした宣言がもつ意義と本来の政策や社会的支援を深く考えていくうえで、こうした宣言の意義を広げていくことが求められます。

※宣言別項参照
※参考
熊谷普一郎『自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと』(TOKYO 人権 第56号(平成24年11月27日発行)

「暴力的「ひきこもり支援」施設問題を考える会」等の解説付き人権宣言の紹介等も出されていますが、現在の大きな社会問題としてこうした問題を考えていくとき、こうした宣言が意味することをしっかりと受け止め、支援制度の構築を急ぐ必要があります。