天海訴訟逆転勝利に向けた「学習決起集会」を開催!
障害者の「65歳問題」の解決に向けて
~天海訴訟逆転勝利に向けた「学習決起集会」を開催!~
1/19 天海訴訟を支援する会が主催し、障全協・きょうされん等が講演する「自助の強要は憲法違反・天海訴訟逆転勝利に向けた学習決起集会」が参議院銀会館で開催され、並行してWEB参加も含め、全国から約300名が参加しました。
以下その概要をご紹介します。
【学習決起集会概要】
1.開会挨拶 天海訴訟を支援かる会 代表 八田英之氏
・千葉地裁の不当判決、控訴したものの今一つ大きな広がりとはなっていない。
・戦いの意義を全国に
2. 国会議員挨拶
・れいわ新選組;船後参議院議員:ALS障害者、もし65歳で介護保険になったら今の生活を維持できない。介護保険では様々な制限がある、厚労省も適切運営の通達があるが、自治体でばらつきがある。障害者の生存権を脅かす。裁判までしなければならないという大きな負担、この問題をわがこととして取り組む
・日本共産党:倉林参議院議員:本来今国会に改正法案が出るはずが先送りとなった。基本合意に基づく改正が本来の在り方、社会保障費削減の方向性の大転換が重要、国に忖度する判決
・社会民主党:福島参議院議員:65歳の壁の問題にレクを受けてきた。厚労省の回答は漠然としたもの。65歳を悲しませるな
・れいわ新選組:木村参議院議員(メッセージ):障害者が地域で生きるために生命をかけた裁判を起さなければならない事態の改善を、7条の撤廃を
3.天海訴訟の現状報告 ・天海訴訟弁護団 向後 剛 弁護士
○次回期日(R4.2.15)に向けての準備
(1)12 月28 日付けで行なったこと
藤岡先生の意見書(甲36)を提出
藤岡先生についての証人申請 → 法廷で採否決定される見込み。
第2回期日における当事者意見陳述(坂本先生:30分程度)の申入れ
※1月末に裁判所に可否を確認する。
(2)今後の準備
ア 河野先生の意見書 すでに完成稿をいただき次回までに提出予定
イ 準備書面と追加書証(坂本先生が作成中)
ウ 加藤ケアマネの陳述書(すでに完成)と証人申請
エ 千葉市から質問回答が出たら、それに反論
4. 講演
①「天海訴訟の今日的課題」
講師 日本障害者協議会代表 きょうされん専務理事 藤井 克徳 氏
○講演のポイント:岸田施政方針で自助共助公助は入らなかったが、これは自民党の基本方針
・今年は、様々な障害者関連の裁判が多く判決が出る年として注目、いずれもが障害者の人権やその水準を見定めていくうえで注目すべきとき
○ 障害のある人の「年齢差別」の今昔
1.克服の歴史
1) 「6歳の春を泣かせるな」(教育権保障運動の合言葉)
2) 「18歳の春に希望を」(共同作業所づくり運動のスローガンの一つ)
2.顕在化の新たな「年齢差別」
1) 「65歳の誕生日を悲しませるな」
2) 「年齢差別」の完全撤廃に向けて
○障害者政策に一貫して流れているもの
1.根深い優生政策(優生思想)
1) 優生保護法の二つの大罪
2) 優生保護法は終わったが優生保護法問題は終わっていない
2.新自由主義政策がもたらすもの
1) 生産性がすべて
2) 自己責任論
3.「一貫して流れているもの」と天海訴訟
1) 脆弱な「個の尊厳」
2) 「官製の障害者いじめ」(行政も司法も)
3) 問われる政策審議体制
○逆流をゆるさない指南役
1.三つの規範
1) 日本国憲法
2) 障害者権利条約
3) 基本合意文書
2.障害者権利条約と
天海訴訟
3.基本合意文書と天海訴訟
○私たちにできること
1.しる 2.わかる(本質を) 3.つたえる 4.うごく
※基本合意を消し去らせてはならない。
○まとめ
※最終的には、国会に帰っていくこととなるが、裁判結果が立法に与える影響は大きい。
※介護保険と障害福祉は本来異なる。統合問題に決着をつけるとき!
⓶「天海訴訟、東京高裁で勝つために― 千葉地裁の判決の問題点」
講師 自立支援法訴訟弁護団 坂本 千花 弁護士
○千葉地裁の問題点
①障害者総合支援法7条の解釈指針について,強引に他の要件を追加して適法要件を創設した。
②総合支援法と介護保険法の違いについて考慮していない
③自立支援法違憲訴訟と国との基本合意の経緯も無視
④65歳で非課税世帯の障害者が自己負担を強いられる不合理について一切検討していない
⑤自立支援給付の全面打ち切りという処分について,介護保険の申請に協力しない天海さんの責任にしている
○改めて東京高裁で主張すること
本件介護給付費支給申請の却下処分の違法性
・障害者総合支援法における要考慮事項を尽くしていない
・被控訴人の窓口における対応に不備があった
・本件全部却下処分は,比例原則に違反する
○原判決の違法性
「要介護認定の申請をしないことに正当な理由がない限り,介護保険法の規定による要介護認定の申請をすることは本件申請の適法要件となる」として明文にない協力義務を拡大
→「市町村は,当該介護給付費の支給申請を不適法なものとして却下することができる」と明文に定めのない申請却下の権限を拡大して,本件処分を適法であると判断している。
明文にない協力義務を解釈によって拡大した上,その協義務に違反したとして申請却下の権限を拡大することは,「基本的人権を有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう必要な支援を総合的に行い,人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与する」障害者総合支援法1条の目的に背馳する。
※障害者総合支援法における要考慮事項
行政権の裁量は,障害者総合支援法の趣旨・目的に沿ってなされなければならない。
※行政行為の比例原則とは
①必要性の原則
→目的達成のために必要な場合でなければならない
②過剰規制の禁止
→必要性が認められても目的と手段が相応してなければならない
※支給決定は,障害者総合支援法規則12条に定められた勘案事項を調査の上,行政の裁量に委ねられいる。
→「・正確な数値が算定できない以上はゼロにしなければならないというものではない。
※支給決定は,「1か月」を単位として支給量を定めることされているため,支給決定の期間を短くして最短1か月の支給決定を行い,引き続き介護保険の申請勧奨をするという方法もある。
・介護保険の要介護認定を受けない限り,不足分について正確な算定は困難であるにせよ,おおよその時間数は概算できるはず。
→行政の裁量で最低限の支給量を決定するという余地もあった。
→全部却下は非道⇒比例原則違反
③ 政策動向を踏まえ浅田訴訟と天海訴訟を振り返る
講師 日本障害者センター理事 山崎 光弘 氏
○社会保険⽅式=基本は本当か︖
★「共助」=「自助」の共同化:今後の社会保障の在り方に関する懇談会、2006年5月
※財務省「令和3年度予算の編成等に関する建議」
負担と受益のアンバランスが=我が国財政悪化の最大の要因
*支え手を増やし成長への取組を行っても、この不均衡は更に拡大
→制度の持続可能性を確保するための改革が急務
=全世代型への転換
・「自助・共助・公助」に法的論拠はない。
・他法との給付調整は障害者総合支援法以外にもあるが、必ずしも社会保険方式の制度が優先されているわけではない。
○なぜ天海訴訟が重要なのか?
・意向に従わない⼈たちへの福祉を切り捨て、障害者権利条約を無視する⾃治体のあり⽅の是正
・経済成⻑に資さず、利⽤料等を払うことが困難な⼈たちへの社会保障・社会福祉を切り捨てて⾏こうとする
国の施策(公的責任の後退)へのアンチテーゼ
・そのために進められている重度者への重点化を名⽬とした中軽度者切りへの問いかけ
・要介護者・障害者の暮らしを⽀えるには脆弱すぎる介護保険制度への問題提起いま私たちができること
・より多くの⼈たちに声をかけ、天海訴訟の内容と問題点を学ぶこと
↓天海訴訟を社会的な問題にしていくこと
・岡⼭市や千葉市のような対応をしないように各⾃治体に求めて⾏くこと
〇国会議員来所:共産党:田村議員・立民党:松尾議員
〇今後の行動提起
2021年5月18日千葉地裁「天海訴訟」判決は、浅田訴訟と類似の事案であるにも関わらず、65歳以上の障害者の障害者総合支援法のヘルパー制度の受給資格として、介護保険の申請と利用を条件とするという明らかに法令解釈を誤るものであり、障害者福祉分野に問答無用で保険の利用を強制させるという過ちを犯しています。
天海訴訟が社会的な注目を集める取り組みを、全国にひろげていく。
★「東京高裁での憲法と法律に基づく公正な判決を」求める署名のとりくみ
・目標10000筆を、裁判の結審前までに達成する。
・そのために、関係諸団体に具体的に働きかけ、署名への協力を広げていく。
★天海訴訟の意義を考える学習会を拡げていく。
・関係諸団体に働きかけ、学習資料を提供しながら、学習の場を組織し、学習の輪をもっと拡げていく。(YouTube等で学習資料を限定公開してます。)
・各自治体の職員の対応がまちまちである。各自治体への学習宣伝を強めていく。
★情報宣伝活動を強めていく。
・天海訴訟ホームページを充実させ、資料提供をしていく。
・障害者総合支援法の見直し時期をふまえ、「65歳の壁」問題を様々な形で掘り起こし、マスコミに対する働きかけをする。
★多くの団体の協力で、運動は広がりつつあるが、地域別、分野別の広がりを一層広げる手立てを考える。署名活動、学習活動等を連動させて取り組む。
6.原告決意表明 天海原告
※詳細資料等は、支援する会等にお問い合わせください。
学習会でも、提起されていますが、こうした訴訟の意義について、その中身を知り、その意義を理解し、知らせていくことの重要性広げていくことの大切さが強調されています。、今後の裁判の動向が注目されるところです。
