大阪障害者センター 壁ニュース

特別支援学校実態はまさに差別的状況!~建設と設置基準策定を求める学習会~

「壁ニュース」テキスト版 2019/06/18

特別支援学校の実態はまさに差別的状況!
~支援学校の建設と設置基準策定を求める学習会~

 さる6/15、大阪市社会福祉センターで、大阪障害児教育運動連絡会の主催で、「支援学校の建設と設置基準策定を求める学習会」が開催されました。
 この学習会は、大阪での特別支援学校の実態は極めて過密・過大の状況が続き、転用教室や特別教室の転用などの他、極めて厳しい深刻な状況を踏まえ、早急にこうした状況の改善を求めて、開催されたものです。

 学習会では、以下のような方々から実態の報告が行われました。
○各地域・学校の保護者・教職員・関係者からの報告
・北河内の障害児教育を発展させる会 稲垣 恵子さん
※理不尽な校区割り、机上プランで振り回される子どもたち
・府立交野支援学校四條畷校分会 鈴木 浩亘]さん
※四条畷分校にもかかわらず、さらに増員計画、教育環境整備もすすまない中で、子供たちの成長や発達を保障することの困難さ
・岸和田・泉南地域の障害児教育をよくする会 清時 綾さん
※兄弟が同じ学校にいけない大変さ、目の前の学校にいけない、学友がバラバラに
・大阪教職員組合障吉児教育部 山林 哲さん
※障害があっても確実に成長できる子どもたちに確信や喜びを持ちながらも、環境の悪さや体制の悪さの中での必死の努力をしても、もう限界、子どもたちにしわ寄せする政策の変更を
・東大阪の障言児教育をよくする会  中川 真早実さん

 またこうした状況を踏まえ、こうした状況の改善のために取り組んできた日本共産党の議員から、府議会や国会での討論等が紹介されました。

【ミニ学習会】
◇支援学校増設のねがいと大阪府政、府議会の現状:日本共産党大阪府議会議員 石川 たえさん
 これまでも、大阪の特別支援学校の過密・過大問題は、極めて深刻なうえに、2017年「大阪府立支援学校における知的しょうが児童生徒の将来推計」をだし、2026年までの児童生徒数が1400名に増加する見込みをだしました。こうした推計を受けて、「教育環境の充実に向けた基本方針」を出しましたが、その内容は①間仕切り教室や特別教室の普通教室の転用②長時間通学を強いる通学校区割りの変更③知肢平地の拡大④府立高校内の支援学校文教室の設置とし、必要最小限の新校整備(600名分)というもので、さもこれで十分対応できるとしている。しかも、この間新知事が「支援学校視察で2校新設を提言」等と報道されているが、さも自分の成果と宣伝していることは全く心外なこと。こうした基本計画の焼き直し提言に過ぎない。抜本的には、こうした状況打開のための取り組みを粘り強く進めていかなければならないと決意している。

◇特別支援学校の実態視察と国会報告:日本共産党参議院議員 山下よしきさん
 国会で、「困った人はほっとかない」の立場で、障害児教育の問題も取り組んできた。
 養護学校義務化40年の不島にあたり、この義務化をすすめた1976年の辻村泰男調査研究会報告「障害が重度で重複していようとも教育の目的は人格の完成を目指すものとし、環境整備を増設する」というこうした考え方を尊重する考えに変更はないとの立場も明らかにしてきた。
 しかし、実際の環境整備にあたって、学校教育法の定める第三条の設置基準は、特別支援学校の実が定められていない。こうした中で、他の普通学校ではありえない、実態が全国的にも蔓延している。(玄関での体育・カーテンのまじ久利教室・廊下が図書室等々)まさにこうした実態の放置は「差別」!なぜ、設置基準をつくらないのかの問いに明確な反論はなにもされないのが現状。安倍首相自身も「現状をそのまま放置することはできない。」との答弁もせざるを得ない状況もある。引き続き皆さんとご一緒にこうした取り組みを強化していきたい。

 また、大阪の障害児教育をよくする会の西面友史事務局長から、以下のような取組みの提案が行われました。

【よくする会行動提起】
◇大阪の障害のある子どもたちに当たり前の教育条件整備を求めるとりくみを続けましょう!
①府立支援学校増設運動をすすめます。
*「府立支援学校の新校整備を求める請願署名」に今年度もとりくみます。「署名」「6者懇ビラ」を活用し、府立支援学校の人権侵害ともいえる実態を知らせ、支援学校増設を求める世論と運動をひろげます)
 協力・共同をひろげ、昨年を上回る署名をあつめ、2020年2月府議会に目標5万筆を提出しましょう!
*障吉者団体と共同して、府議会議員への要請・懇談にとりくみます。
②「障害児学校の設置基準策定を求める請願署名」にとりくみます。
③「特別支援学級の編制標準の改善を求める要請署名」にとりくみます。
※各種署名用紙等は障連協事務局で取り扱っています。

【参加者アピール】
「特別支援学校の設置基準の策定」と「府立支援学校の大増設」を求めて、大きな府民的運動をすすめましょう
 いま、全国的に特別支援学校に在籍する知的障害児童生徒が激増しています。
 大阪の支援学校に在籍する知的障害児童生徒の増加傾向は、全国と比べても顕著で、特別支援教育体制がスタートした2007年度は、大阪府立と旧大阪市立
の支援学校を合わせて、4229人でした。今年度は7244人となり、12年間で約1.71倍にふくれ上がっています。今後もさらに増え続け、2026年度には、8000人を超えるという府教委による将来推計が示されています。
 しかし府教委は、児童生徒の増加に見合った支援学校建設をおこなわず、「特別教室の普通教室への転用」や「数合わせに過ぎない通学区域割の変更」などを推し進めてきました。そのため、府内の支援学校の多くは、開校当初に想定した児童生徒数の規模を大幅に上回り、教室不足と「過大・過密」問題が深刻です。
 このような状況にありながら、なおも府教委は、昨年発表した「府立支援学校における知的障がい児童生徒の教育環境の充実に向けた基本方針」において、新校整備は最小限にとどめるとしています。そして、「特別教室などの転用」や「通学区域割の変更」をさらに推し進め、「さらなる知肢併置の拡大」と「府立高校内に支援学校の分教室設置」によって、人権侵害ともいえる実態にさらに拍車をかけ、安上げの施策をすすめようとしています。
 このような事態を引き起こす根幹にあるのが、特別支援学校にだけ学校教育法にもとづく「設置基準」がないという国による差別的な対応が続いているか
らです。
 私たちはこれまでにも「養護学校鸚務制」や「重複障害学級認定」、「養護学校建設」など、切実な要求にもとづいて運動し、困難な情勢を切り開いてきました。そこに確信を持ち、「特別支援学校の設置基準の策定」と「府立支援学校の抜本的大増設」を求めて、大きな府民的運動をすすめていくことを今日この場にあつまったみなさんで確認します。
 障害のある子どもたちをはじめ、すべての子どもたちが大切にされる教育の実現をめざし、ご一緒にがんばりましょう。
 2019年6月15日:支援学校の建設と設置基準策定を求める学習会

 養護学校義務化40年、全国的にも深刻な教育環境の問題、緊急にこうした課題への対応が求められる状況となり始めています。