大阪障害者センター 壁ニュース

第3回「障害児・者、家族の自立(自律)と暮らしを考える集い」を開催!

「壁ニュース」テキスト版 2020/02/07

第3回「障害児・者、家族の自立(自律)と暮らしを考える集い」を開催!
~親亡き後ではなく今から考える親と子の自立(自律)を考えよう!


 2/6大阪湊区民センターで第三回「障害児・者、家族の自立(自律)とくらしを考える集い」が開催され、当事者・家族・事業関係者200名を超える参加者が集いました。

 当日は、朝日放送番組テレメンタリー2019「老障介護 シュートステイは、今」が上映されたあと、記念講演として当該放送局テレビ記者、西村美智子氏から「ロングショート問題を取材して話したいこと」と題して講演が行われました。

【講演概要】
●初めて、老障介護のご家族を知つだのは‥・2012年の夏
*大阪市営鶴町住宅ボランティアの手作り弁当の配達 老障介護世帯への宅配(この中で初めて老障介護の実態を知った。)
*2年後の、2014年11月に、キャストの特集で放送
*放送は我々の力では無い。皆さんのご協力のおかげ。
*思わぬ結果     たくさんの方に見て頂いている 視聴率が良い
 視聴者は興味本位では無い 放送後は必ず電話が
*社内の評判     社員が大阪市立大学での講義、「実は自分の家族も…」「知らなかった」「これを放送していこう」
●ロングショート問題にこだわった理由
*障害者世帯にとって、最大の問題であり、最悪の結末だと感じている
*あまりにも知られていない
*社会問題:背景に「老障介護」
●取材して、感じていること
*これは「社会問題」であるのに、なぜ、大きな社会問題にならないのか?
※様々な理由が。
 社会の偏見。声を上げにくい。介護で大変。親の高齢化。自己責任論
「しかし、最も大きなことは、まず統計資料がない、把握もされていない。そのうえ現場からの発信すらない現実が大きな問題」
*だけど、これは「社会問題」
*当事者への取材なしには、放送はできない。
*様々なご経験をされたご家族は、社会の宝物。いろんな場で活躍される可能性が。
●声を上げるということ
*自己責任論は古い。介護の社会化 家庭ではなく、社会でみる。
*どんな社会問題も声を上げると、必ず否定的な意見が・‥
「しかし、世間はまんざら捨てたものではない。サイレントマジョリティを信じて!」
*本格的な超高齢社会の到来 大変な時代に‥・
 まさに、こうした思いをマスコミ人として引き出してこれたことの意味が熱く語られました。
 当日の講演後、西村さんから会の方に以下のようなメールが届いています。
「本日は、大変貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。 私などの話を、あんなにたくさんの方々が、寒い中、聞きに来てくださるなんて、本当に感激でした。
 また、大変重いテーマの番組が、皆さんの励ましになっている事実を目の当たりにし、私どものほうが、大変励まされました。
皆様方のますますのご活躍を祈っております。」

 続いて、大阪障害児・者を守る会会長、全国障害児者の暮らしの場を考える会事務局長の播本裕子氏から「今から考える親子の自立(自律)~故・中内福成さんの意思を継いで~」の特別報告が行われました。

【特別報告概要】
 障全協が昨年行った全国暮らしの場アンケート結果に触れながら、以下のようなまとめを行いました。
○調査の結果から
・介護を自分で抱え込むことでわが子を守ることにはならない=親以外の支援を受けながら親からの独立(自律)が必要
・一般の調査よりもはるかに体調の不調を訴える人が多い
・一般家庭よりも貧しい障害児者の家庭
・「親が亡くなったら、即住む所もなくなる障害者が多い」(中内さん)
・親が介護できなぐなったから手放すのではなく、親から飛び立つ形での入所を
・同居していても親の体力や経済力、都合に左右されない支援を・・・親から独立した生活
・老障介護、ロングショート、F私はもうわが子を看られません」と大きな声で言うとき
○障害のある人の自律とは
・経済的自立、身辺自立はできなくても精神的な自立はできる!=自律
・「おかあちゃんうっとうしい」「親には内緒にしたい」・・・自律のチャンス
自律するためには
・自分のことが好き、自分に自信‥・否定されない生活 がんばればできると言われても
・失敗しても立ち直れる いい形での失敗の経験を
・自ら「やった!」と思える経験
・自分の弱さもわかる
 自分のできないことに支援を求める力・・・上手に依存しながらの自立(自律)
子離れ・親離れの難しさ
・いつの間にか精神的には親も子どもに依存、共依存の関係に
「子どもと一緒に死にたい」「子どもより1日長生きしたい」「私の目の黒いうちは」
 「私が一番この子のことを知っている」「私以外この子の介護はできない」という幻想
・障害基礎年金も親の生活費に‥・経済的に離れられない 若い時から母親は子どもの介護で働けなかった=子どもが生きがい、一般家庭よりも経済的に不安定=子どもを離せない
・生活保護バッシング、子どもの年金を使う後ろめたさ・・・声を出せない
・憲法「改正」によって家族責任が強化される恐れ 自民党案 第24条「家族は互いに助け合わなければならない」↓憲法25条を根拠に親子それぞれの人生を考える
※「障害者は平和でなければ生きられない。障害者の権利を守る運動は平和運動でもある」
=(11/25、養護学校義務制40周年の集会での中内さんの発言より)
※家族依存から社会的支援への政策的転換を求めていく
・本人・家族・支援者一事業者が連携してすべての権利を守る運動を

「障害者のくらしの場」を考えることの意味を考えてみよう!

 今回のこうした取り組みは、徐々に広がり始めている全国的な課題に対する大きな出発点となっています。
 特に、障害者の老障介護の限界が起こった時に引き起こされている「ロングショート」の問題は、きわめて深刻な社会問題です。
 この間、こうした問題の解決のために、国は、「地域生活支援拠点事業」を各慈雨地帯レベルで進めるよう障害者計画に位置付ける措置をとっていますが、いまだにその事業は一向に進展しようとしていません。
 その第一の理由は、この事業が何でどのような人を対象者として住めるべき事業なのかという実態把握すら自治体が行えていないことです。
 第二に、こうした事業を展開するにあたって、現行の障害者施策が現状に合ったものがあまりに的外れなものとなっていることです。
 例えば、緊急の支援を行うべき、相談支援センター等の相談機能・さらにショートステイ事業(基本は親のレスパイト事業であり、障害当事者のための制度となっていない。)またショートで対応しても、次の行き先が見つからないということです。
 第三に暮らしの場として設定される、入所施設は、削減計画が先行し、その代わりのグループホームもなかなか増えていかない実態があります。
 第四に、行動障害等の状況を適切に受け止められる支援者が増えていかない現状があり、まさに福祉や介護に人が来ないという深刻な事態がほうちされたままになっています。
等の理由が挙げられますが、やはり、伐根的にこうした、問題を系統的にどうしていくのかの検討が緊急に測られなければ、解決しない極めて深刻な社会問題といえます。
 一方で、現在の社会保障制度改革は、こうし現状を無視して、「自助・扶助・互助・共助」の流れで、公的責任を後退させ、自己責任や家族責任を前提とし、その上、互助を前提として地域への丸ごと責任転嫁を進める施策が展開されようとしています。
 その意味では、この問題は、単に障害者のみならず、きわめて深刻な国民全体の課題ともなってきているといえます。
 高齢者の在宅介護や特養老人ホームの待機者問題などに加え、年金だけだは生活できない現状の問題は、広く障害者の暮らしの場にも影響を与えてきます。
 まさにこの問題は、家族中心型福祉制度全般の問題ともいえます。
 ただし、障害者の老障介護問題は、障害の状況等によってもその支援内容が異なる側面があり、○行動障害等のある場合、○医療的ケアの必要な場合、○引きこもり等の課題にある場合、○精神障害の場合、○社会的問題駆動のある場合等課題別に細かな支援策の構築が必要となっています。

 大きく社会問題として提起していくとともに、当事者・支援者の共同など具体的で実効性のある対応策を提起していくためにも、様々な立場からの共同が極めて大切な取り組みとなりますが、このまま放置されてはならない緊急ン課題として広く認識されれ行くための強度の取り組みが急がれるところです。