大阪障害者センター 壁ニュース

障全協近畿ブロック会議を開催!~交流とともに、今後の課題を確認!~

「壁ニュース」テキスト版 2020/02/14

障全協近畿ブロック会議を開催!
~近畿各地の活動交流とともに、今後の課題を確認!~


 寒さ厳しい2/9障全協近畿ブロックは、滋賀県草津市の滋賀県立障害者福祉センターで、障全協近畿ブロック地域運動交流集会が開催されました。
 記念講演では、「障害児はどのように戦争を体験し、組み込まれていったのか。そして」と題して、日本盲教育史研究会事務局長の岸博美氏が講演されました。
 氏は、京都府立盲学校教諭として長年勤められ、日本盲教育史の研究を長年務められ、近年、「視覚障害教育の源流をたどる」(明石書店)を発刊されておられます。

【講演概要】
○ドウゾ、シナジンヲタクサンコロシテ、ヨイヒトニ シテアゲテクダサイ。(盲学校初等部一年生の作品から)
※教え込まれた戦争の意義?
○東大の眼科医が「眼は武器」と書いた意味
※当時の社会背景をしっかりとらえることが重要。
○「障害者と戦争」四つの側面から考える。
1、差別・排除の側面
※ごくつぶし、役たたず「優生思想」は現在まで影響
2、被害・被災の側面
※空襲の悲惨さとともに、疎開でも差別が
3、翼賛・動員の側面
※「航空あんま」「産報あんま」「慰問治療」等の挺身
※ゼロ戦・日本盲人号の献納運動
※盲人防空監視哨員(敵機爆音集レコード:国民学校・盲学校で視聴NHKアーカイブで視聴できます。)
※自治体・メディア・学校が導いた渦中
4、厭戦・反戦等の側面
※帝国盲教育会会長・森清克「国家財政の上より考察すれば吾人の要求する盲唖教育費は実に僅少なるを以て」
※反戦ビラまきに参加した小野兼次郎
※プロレタリア音楽同盟にいた守田正義
※大阪市盲の絵スぺランティスト学生
こうしたいくつかの視点からしっかりと実像を把握していくことが大切と強調され、戦争と障害者という側面だけでなく、戦争とは何かをしっかりつとらえる視点が必要と話されました。

 なお、午後からは、各地域からの地域運動の交流が行われました。

【運動交流】
○兵庫(姫路障害者連絡協議会の10年のあゆみ)
○大阪(こだまぼっこの会の取り組み・暮らしの場のとりくみ)
○和歌山(和障連の取り組みときょうされん全国集会和歌山集会成功への訴え)
○奈良(奈障連の会長交代とこの間の取り組み)
○京都(放課後デイの現状と療育の課題)
○滋賀(滋賀肢体障害者の会「みずのわ」:障害者とその家族における防災意識についての実態調査報告)

 こうした地域の取り組みを踏まえ、障全協の白沢仁事務局長から「障害者・家族をめぐる情勢と運動課題」が報告されました。

【報告概要】
障害者・家族をめぐる情勢について
(1)2020年の主な日程
▼第204回通常国会「全世代型社会保障検討会議」中間報告を踏まえた社会保障「改革」
‥年金法「改正」案・介護保険法「改正」案・障害者総合支援法改正案
 国民投票法「改正」案(衆議院解散・総選挙は秋?「改憲」国民に問う?)
▼「骨太方針2020」 財務省建議・「全世代型社会保障検討会議」最終報告等を受けて
 社会保障全般の次元の異なる政策発表?
▼東京オリンピック(7.・パラリンピック開催
▼2020年度各省概算要求まとめ
▼第202回臨時国会
▼2020年度政府予算案まとめ

(2)なによりも安倍改憲を許さない野党と国民の共同前進を!
・安倍首相:2020年改憲あきらめず!在任中に成し遂げる!
・「戦争する国づくり」の総仕上げとしての9条改憲を阻止
・憲法審査会での「改憲4項目」・国民投票法「改正」許さない
・「憲法25条を守り活かす」共同「これ以上の負担増・給付切り下けは許さない」共同‥「全世代型社会保障改革」を許さない共同の前進も!
※4.13守ろう社会保障!全国アクションヒューマンチェーン(国会大包囲)

(3)障害者権利条約・「基本合意」・「骨格提言」を握って離さない運動前進を!
・障害者権利条約‥‥日本政府報告(2訓6提出)・パラレルレポート提出)
 2020年8月or9月に国連・権利委員会で審議
 内容ある国連勧告=運動の羅針盤 傍聴団派遣、障全協からの派遣(若手派遣募金呼びかけ)
・障害者自立支援法違憲訴訟「基本合意」10年目
「基本合意」実現をめざして定期協議、しかし実現どころか後退?
EX:「介護保険優先原則」問題(65歳問題)、自立支援医療の非課税無料化
 次回定期協議(3月2日15:30~厚生労働省12F)
・障害者に係わる特徴的動向と権利条約
・神奈川県「津久井やまゆり園障害者殺傷事件」(植松公判)
・旧優生保護法による強制不妊手術問題(訴訟)救済法成立
・中央省庁・地方公共団体における障害者雇用偽装問題 障害者雇用促進法改正
・ハンセン病家族に対する差別・偏見問題(訴訟)←補償法成立
※「障害者に生きる価値はない」「生産性がない」‥‥突きつけられた問いかけ!「格差・貧困」問題の深刻化の中で、さらに社会に蔓延するのではないかの懸忿
※障害者運動はどう立ち向かうのか!

(4)「全世代型社会保障」に基づく、更なる社会保障「改革」
「全世代梨社会保障検討会議」設置(2019年9月20日第1回会合)
※厚生労働省の「枠」を超えた国家戦略・財界主導の社会保障「改革」
▼見えてきた「ねらい」
①社会保障関係予算のさらなる抑制・削減(2020年度政府予算の3分の1)
②アベノミクス・規制改革に伴う営利企業の参入促進(市場原理)
③一億総活躍社会実現・人生100年時代戦略等一社会保障全面「改革」
④「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」(保険原理と受益者負担)徹底
⑤全世代を対象とした負担増と給付カット(年齢ではな<負担能力に応じた負担)
⑥社会保障に「投資」導入
▼「全世代型社会保障検討会議中間報告」(2019.12.19発表)
 「現役世代の負担上昇を抑えながら全ての世代が安心できる社会保障制度構築」
・後期高齢者医療費の2割負担       医師会等の反発で「原則1割」のままで一部例外的に2割に!
・年金「改正」(雇用関連法改正と連動して)
 支給開始年齢‥‥60~了○歳の開での選択を上限75歳に引き上げ
 在職老齢年金・・減額の線引き、65歳以上「月額47万円超」→62万円超
 結果、60~64歳F月額28万円超」-47万円超
 短時間労働者の厚生年金加入義務づけ
・介護保険「改正」
 インセンティブ交付金のメリハリ付け強化
 介護サービスと保険外サービスの組み合わせなどによる提供体制構築
※当初の改革事項からみた不十分さ→6月最終報告に反映

○当面する運動課題について
▼「介護保険優先原則」(第7条)と介護保険の抜本改正を求める運動の推進
※実施20年をむかえる介護保険と次期「改正」に対する闘い!
 「全世代型社会保障改革」に楔を打ち込む闘い!
※介護保険優先原則関係実態調査結果を活用した運動
※干葉・天海訴訟の支援(第7条は覇束処分か裁量処分か 通知との関係は)
※日本高齢期運動連絡会と障全協の共同
▼障害児者の暮らしの場づくり運動の推進
※日本の障害者施策の根本問題である「家族依存」からの脱却を求める闘い!
 国際基準である障害者権利条約にふさわしい施策実現を求める闘い!
 憲法を守る闘い!(自民党:憲法改正草案第24条-家族責任)
※障害児者をもつ家族の暮らしと健康の実態調査結果に基づく運動
▼自治体医療費助成制度の国の制度化を求める運動の推進
※全国共通の運動課題 意見書採択運動等の提起(検討)
・国に現物給付方式による障害児者医療費助成制度の創設を求める!
・ペナルティー(罰則)はただちに中止することを求める!
・当面、自治体単独事業としての重症心身障害者(児)医療費助成制度に対する財政支援を求める!
▼その他の重点要求の実現を求める運動の推進
・「障害年金・無年金障害者救済」「精ネ申障害者の運賃割引」「学校設置基準」「障害者と防災」「まちづくり点検運動とバリアフリー」「参政権保障」他

○組織・運動・財政のあり方検討
※組織そのものの存続と後継者づくりを含めた積極的な検討と議論を!

 今後、障全協も4月の総会に向けて、議案づくりなどを進めるにあたって、各地域の経験の集約が急がれています。