大阪障害者センター 壁ニュース

混乱の続くコロナ対策!新たな対応に向けて、緊急要望等を配信!

「壁ニュース」テキスト版 2020/03/09

混乱続く、コロナ対策!各種通知を配信~
新たな対応に向けて、緊急要望等を配信!

 新型コロナウィルスの拡大は、日に日に広がり、様々な対応が徐々には進み始めました。
 あらためて、厚労省の配信している、基本的内容を整理しておきます。
【感染経路遮断の3原則と具体的対策】
 厚労省から発出されている事務連絡では感染症対策に関して「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版(以下「マニュアル」)」と「保育所における感染症対策ガイドライン(以下「ガイドライン))」の参照を求めています。
「マニュアル」では感染経路の遮断のためには、病原体を ①持ち込まないこと ②持ち出さないこと③拡げないことへの配慮が必要とされています。
 厚労省によれば、新型コロナの感染経路は飛沫感染と接触感染とされ、「ガイドライン」では以下の対策が示されています。
○飛沫感染対策
・感染者から2m以上離れ、飛沫を浴びないようにする
○接触感染対策
・丁寧に手洗いをし、手指を清潔に保つ
・手洗いの際、タオルの共用は絶対にせず、ペーパータオルを使用
・固形石鹸の衛生状態に注意(1回ずつ個別に使用できる液体石けんを推奨)
・消毒には適切な「医薬品」及び「医薬部外品」を使用
・皮膚に傷等からの感染する場合もあるため、その部位を覆う
 なお、「マニュアル」では嘔吐物や排せつ物を扱うときは手袋の着用だけでなく、これらが飛び散る場合に備えてマスクやエプロン・ガウンの着用をすることが必要としています。
 こうした基本的情報に加え、学校休業や外出・集会等の自粛やマスク調達への対応等が指示され始めていますが、あまりに場当たり的対応も含め、現場や地域では大きな混乱が続いていています。
 こうした中、いくつかの団体が対策に対する緊急要望を行っています。

【中央組織の緊急要望項目】

○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(2/25)
1.国民への正確な情報提供と対策の徹底に努めるとともに、難病患者や長期慢性疾患患者など、基礎疾患をもつ患者に不安を抱かせないよう、新型コロナウィルスに関する上記患者向けの知識及び対策の普及に努めること。
2.難病患者や長期慢性疾患患者など、基礎疾患を持った患者や免疫抑制を余儀なくされている患者への検査、治療などの対策に万全を期すこと。
3.新型コロナウィルスによる感染の拡大を阻止するための対策や治療薬の開発、治療体制の確立に努めること。
4.感染拡大の防止や検査・治療にあたって費用負担が発生する場合は、社会的な蔓延を防止する観点から無料若しくは低額な費用負担とすること。

○全国障害者問題研究会常任全国委員会 (3/2)
1)安倍首相による今回の学校への休校要請、また2月29日の記者会見では、特別支援学校、特別支援学級そして通常学級に在籍する障害のある子どもの実態、家族を含む生活の実態には、まったく考慮が払われていません。
 障害のある子どもたちとその家族の、家庭や地域での生活には、特別な困難があります。通学ができないことによる生活リズムの乱れ、生き生きとした活動や集団が保障されない生活のなかでの行動の不安定化などは容易に想定されることです。病気にかかりやすく治りにくい子どもたちのいのちと健康を守るためにも、教育と医療の専門的な知見をふまえた継続的な対応が欠かせません。政府・文部科学省ならびに各自治体は、学校や教育委員会が子どもや家族の実態を踏まえた対策を主体的に検討し、柔軟に対応できるような支援策を速やかに講じるべきです。
2)文部科学省は「福祉部局や福祉事業所との連携」「地域の障害福祉サービス等の活用」による「幼児児童生徒の居場所の確保」を、また厚生労働省は、休校への代替措置として「地域の障害福祉サービス」や「放課後等デイサービス」の利用を通知していますが、現状でも充分ではない報酬のもとで職員不足や経営困難にあえいでいます。放課後児童健全育成事業(学童保育)には午前中からの開所に対して1万円余の加算をするとのことですが、これでは十分な体制を確保できないのはすでに明らかです。
 また狭い場所での活動を余儀なくされているこういった「サービス」のもとで、学校以上に感染のリスクが高まることも想定されます。
3)障害のある子どもの保護者も、限られた条件のもとで就労し、生活を支えています。そういった薄氷のうえでの就労が、いっそう困難なものになります。就労が継続できる条件や所得の保障が十分に配慮されるべきです。
4)障害や生活の困難によって施設に入所し、そこから通学する障害のある子どもも少なくありません。その日中の活動が施設に限られることによって、施設の職員体制の確保や活動の保障は困難を極めます。そのことへの対応が早急になされるべきです。
○障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(3/3)
1.小中学校・高校における新型感染症者数だけでなく、社会福祉事業所における感染者数およびその影響に係る実態調査を実施し、早急に調査結果を公表して下さい。
2.新型コロナ感染症の影響で、社会福祉法人・NPO法人等の社会福祉事業所が倒産しないように、現行以上の財政的特別措置を講じてください。
3.「新型コロナウイルス感染症防止のための学校の臨時休業に関連しての放課後等デイサービス事業所等の対応について(その3)」(2月28日)において、放課後等デイサービスには“感染をおそれ、欠席した障害児に居宅等で健康管理や相談支援等のできる限りの支援の提供を行ったと市町村が認める場合、通常と同等のサービスを提供しているものとして報酬を算定できる”という特別的措置が設けられました。少なくとも介護保険、および障害福祉の通所事業すべてに同様の措置を適用するとともに、その基準は国が示してください。
4.緊急時への対応を含め、普段から介護・福祉職員・社会福祉事業経営者が責任と尊厳をもって働けるように、報酬の日割り単価の見直し、基本報酬の大幅な増額等を行い、職場環境の向上を図るとともに、介護・福祉職員の処遇を抜本的に改善して下さい。
1.正確な情報提供によって、具体的な感染予防対策を明示するとともに、人権侵害の禁止・防止を含めた総合的な対応指針を策定してください。この際、障害者等にも分かりやすい情報提供の配慮を行ってください。
2.社会的混乱を誘発している、デマ情報を拡散しないよう注意喚起を徹底してください。
3.医師が必要と判断した患者すべてにPCR検査が行える体制と検査・治療を行う医療体制を早急に整えてください。その際、障害を理由として検査や入院等を拒否しないこと、あわせて合理的配慮の提供を徹底してください。
4.新型コロナ感染症を対象とし、緊急事態宣言により権利の制限を可能とする「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改正の審議にあたっては、現行法での対応可能性の再検討や社会経済的影響、日常生活への影響からみた権利抑制の是非やバランスなど、慎重かつ十分な審議を求めます。
5.改憲を実現するために新型コルナウイルス感染症問題を利用し、人権の一時停止を可能とする緊急事態条項等の新設を強行しないでください。

○認定NPO法人日本障害者協議会(JD)(3/3)
1.マスクや消毒液の提供
 障害のある人がいる世帯、並びに障害のある人を支える事業所(通所施設、入所施設、居宅支援事業所等)に、マスクや消毒液を提供してください。
2.障害のある人の医療受診の迅速化
 発熱など体調に変化がみられる障害のある人が、迅速に医療機関を受診できるよう、各自治体に通知し、各医療機関が障害のある人の検査・治療を行えるようにしてください。
3.全国一律の休校要請の見直し
 安倍総理大臣による全国一律の休校要請には、休校により生じる障害のある子どもたちとその家族の状況や困難に一切配慮がありませんでした。通学できないことによる生活リズムの乱れや不安定な生活から生じる、障害のある子どもたちや家族への影響は計り知れません。一律の休校要請ではなく、各教育委員会、学校の実態を踏まえた柔軟な対応ができるようにしてください。
4.障害福祉サービス報酬の日額払い制度の廃止
 障害福祉事業所では、障害のある人の体調不良や発熱などの場合には通所せず、安静に過ごすことを推奨しています。しかし、現在の日額払いの報酬支払いでは、休所する人や休所期間が長引くことは、経営困難に直結します。日額払い制度を早急に廃止してください。
5.障害福祉事業所への収入補填
 工賃向上を求められている就労継続支援A型・B型事業所等では、この間のさまざまな取り組みの自粛・休止で、仕事や販売の場所や機会を失っています。通常の給料や工賃支払いの水準を担保するためにも事業所への収入の補填策を講じてください。

【大阪関連団体】

○堺障害児者施設部会(2/28)
□幼稚園、小中学校の自宅待機に伴う職員の休業の補償
□職員不足による事業縮小または休業時の事業継続の手立て
□施設内で感染者が確認された場合、事業所休業に対する補償
□障害当事者の感染による入院時の支援 
□グループホーム内での感染発生時の対応
□予防対策としてのアルコール、マスク等必要な物品の支給
★アルコール、マスクについては特段の手配を支給お願いいたします。

○きょうされん大阪支部(3/9提出予定)

1.障害児者・家族に対して正確な情報提供を行い、具体的な感染予防対策を明示してください。この際、障害のある人にもわかりやすい情報提供の配慮を行ってください。
2.検査・医療の提供に当たって、障害児者が排除されないよう受け入れ医療機関の整備を早急に進めてください。入院が必要な場合、家族の負担とならないような措置を講じてください。
3.自宅待機や緊急避難等が必要な場合、障害児者支援が適切の行えるよう福祉サービスの提供に関わる特別措置を講じてください。
4.マスク、消毒液等予防のために不可欠な物資が障害福祉事業所や障害児者・家族、医療機関に充分に供給されるよう特段の措置を講じてください。
5.新型コロナウイルス感染症の影響による生産活動の損失を補填するための措置を講じてください。
6.障害者への支援がスムーズに行えるよう府庁関係部局間の連携を図り、連名での通知発出など具体的な手立てを講じてください。
7.支援をすすめる上でも事業の安定的な運営を図る上でも障害福祉事業所に対する一律の休業要請は行わないようにして下さい。感染者が出た場合など休業を余儀なくされる場合は、報酬がなくなる間を補填する措置を講じてください。
8.緊急の対応を迫られる中支援員を補うための対策により追加の人件費が発生した事業所に対し、これらを補填する措置を講じてください。

 今後、緊急対策等が引き続き週明けにも出される見通しですが、現場の状況を反映した迅速な対応が求められます。 
 大阪では「要求実行委員会」等を中心に各団体の要望等を集約して緊急要望を行う予定ですが、各団体からも実態を把握してうえでの必要な要望を行っていくことが求められます。
 加えて、対策が市町村での対応にもばらつきがありますので、堺同様市町村への働き掛けも重要な時期となっています。