大阪障害者センター 壁ニュース

令和2年度予算は?~厚労省、大阪府での予算提案に注目を!~

「壁ニュース」テキスト版 2020/03/18

新型コロナ対策の中、粛々と進められる、令和2年度予算は?
~厚労省、大阪府での予算提案に注目を!~

 新型コロナウィルスへの対応をめぐっては、日々様々な通知等が出される中、現場での混乱はしばらく落ち着きそうもありません。
 こんな中ですが、令和2年度予算にかかわって、粛々と議論が進められています。
 まず、社保審障害者部会は、3/3に開催され(持ち回り開催)、以下のような内容が公開されています。

【障害者部会報告内容】
○障害者就労に係る最近の動向について
・障害者雇用・福祉連携強化PTについて
【新規】雇用施策との連携による重度障害者等就労⽀援特別事業(仮称):地域生活支援事業(任意事業)
1 事業目的
重度障害者等に対する就労支援として、雇用施策と福祉施策が連携し、職場等における介助や通勤の支援を実施する。
2 事業内容等
重度障害者等の通勤や職場等における支援について、企業が障害者雇用納付金制度に基づく助成金を活用しても支障が残る場合や、重度障害者等が自営業者として働く場合等で、自治体が必要と認めた場合に支援を行う。
※ 支援対象として想定している重度障害者等は、重度訪問介護、同行援護又は行動援護のサービスを利用している者。
※ 本事業の開始に当たっては、雇用施策との連携について十分な準備期間等を設けることを検討。
※ 自治体が必要性を判断するに当たっては、障害者本人の状況や事業主の企業規模等を勘案することを想定。
(ア) 支援内容
企業が重度障害者等を雇用するに当たり、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)第49条に規定する障害者雇用納付金制度に基づく助成金を活用しても当該重度障害者等の雇用継続に支障が残る場合や重度障害者等が自営業者等として働く場合において、市町村等が必要と認めたときに重度障害者等の通勤や職場等における支援を行う。
(イ) 対象者
本事業の対象者は、重度訪問介護、同行援護又は行動援護の支給決定を受けている者であって、原則当該市町村等に居住地を有し、次のいずれかに該当するものとする。
a 民間企業(障害者の雇用の促進等に関する法律第49 条第1項にある助成金の対象となる事業主をいう。以下同じ。)に雇用される者であって、1週間の所定労働時間が10時間以上のもの
※ 原則、就業場所は問わない。
※ 週所定労働時間10時間未満の者であっても、当該年度末までに当該企業が10時間以上に引き上げることを目指すことが関係者による支援計画書において確認できた場合には対象とすることができる。
※ 就労継続支援A 型事業所の利用者を除く。
b 自営業者等((イ)aの対象者及び国家公務員、地方公務員、国会議員、地方議会議員等の公務部門で雇用等される者その他これに準ずる者以外のものをいう。)であって、当該自営等に従事することにより当該対象者の所得の向上が見込まれると市町村等が認めたもの
・障害者介助等助成⾦及び重度障害者等通勤対策助成⾦の拡充案について
1.障害者介助等助成⾦(拡充案)2.重度障害者等通勤対策助成⾦(拡充案)
○放課後等デイサービスの対象拡大について
※放課後等デイサービスの利⽤対象として専修学校に通う児童を新たに追加することについて、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定において、放課後等デイサービスの報酬のあり方全体の中で検討することとしてはどうか
○障害児入所施設の在り方に関する検討会について
○報酬改定検討チームの議論の状況について
○障害児等の現状について※在宅の医療的ケア児者の現状
○精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会の開催について
※ 現場の関係者や有識者、当事者・家族等からなる「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会」を開催し、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の推進に関して課題となっている事項について、各種施策への反映を念頭において議論する。(実施時期︓令和2年3⽉頃〜令和3年3⽉頃)
○令和元年の地方からの提案等に関する対応方針について
○世界自閉症啓発デーについて

 さらに、3/9には、主管課長会議が開催され、より詳細の概要等が報告されています。
【厚労省主管課長会議資料】
◇企画課
1 令和2年度障害保健福祉関係予算案について
○ 令和2年度障害保健福祉部関係予算は、2兆1,528億円であり、対前年度1,506億円増、7.5%の伸び。
○ 障害福祉サービス等の給付に係る経費は、1兆5,842億円であり、対前年度1,300億円増、8.9%の伸び。
2 第6期障害福祉計画に係る基本指針について
【障害福祉人材の確保】
○ 障害福祉サービス等の提供を担う人材を確保するため、研修の実施、多職種間の連携の推進、障害福祉の現場が働きがいのある魅力的な職場であることの積極的な周知・広報等に、関係者が協力して取組むことが重要であることについて、基本指針に記載。
○ 成果目標については以下のとおり。
【施設入所者の地域生活への移行】
① 施設入所者の地域生活への移行
令和元年度末時点の施設入所者数の6%以上が地域生活へ移行することを基本とする。
② 施設入所者の削減
令和元年度末時点の施設入所者数の1.6%以上削減することを基本とする。
【精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築】
① 精神障害者の精神病床から退院後1 年以内の地域における平均生活日数
② 精神病床における1年以上長期入院患者数(65歳以上、65歳未満)令和5年度末の精神病床における1年以上長期入院患者数を、国が提示する推計式を用いて設定する。
③ 精神病床における早期退院率( 入院後3か月時点、6か月時点、1年時点)
【地域生活支援拠点等が有する機能の充実】
令和5年度末までの間、各市町村又は各圏域に1つ以上の地域生活支援拠点等を確保しつつ、その機能の充実のため、年1回以上運用状況を検証、検討することを基本とする。
【障害児支援の提供体制の整備等】
① 令和5年度末までに、児童発達支援センターを各市町村又は各圏域に少なくとも1 カ所以上設置することを基本とする。
② 令和5年度末までに、すべての市町村において、保育所等訪問支援を利用できる体制を構築することを基本とする。

◇企画課 自立支援振興室
1 地域生活支援事業等について
○ 令和2年度予算(案)における地域生活支援事業費等補助金については、事業の新設など必要な見直しを行い、総額で505億円を計上。
2 意思疎通支援について
(1) 障害者等の意思疎通支援等に関するトピックス等
ア 新型コロナウイルスに関する周知等について
○ 視聴覚障害者等は、その障害特性から情報取得や他者とのコミュニケーションが困難な状況であることから、各地方自治体の障害保健福祉担当部局におかれましては、庁内の新型コロナウイルス担当部局、視聴覚障害者情報提供施設、地域の障害者団体等と連携を図りながら、以下の点について特段のご配慮をお願いしたい。
■ 視覚障害者については、相談に関する連絡先(電話番号等)の周知やホームページ上の情報のテキストデータの提供等
■ 聴覚障害者等については、電話以外にFAX 番号またはメールアドレスの周知や字幕映像の提供等(特に、各地方自治体のHP に掲載している「帰国者・接触者相談センター」のFAX 番号の掲示等)
① 地域における意思疎通支援者の計画的な養成支援事業の創設
○ 令和2年度予算(案)において、都道府県等にコーディネーターを配置して、意思疎通支援者の人材養成等の体制の課題に対応し、地域における計画的な養成を促進するための事業を新設することとしたので、各都道府県等におかれては、積極的な活用をご検討いただきたい。

◇障害福祉課/地域生活支援推進室/障害児・発達障害者支援係
1 障害福祉関係施設等の整備について
(1)令和2年度度社会福祉施設等施設整備費補助金の予算案について
○ 社会福祉施設等施設整備費補助金については、令和2年度予算(案)において、174 億円を計上している。
2 障害福祉分野における文書量削減に向けた取組について
3 障害福祉サービス事業所等の整備及び適切な運営等について
4 障害者総合支援法と介護保健法の適用に係る適切な運用等について
(1)障害者総合支援法に基づく自立支援給付費と介護保健法との適用関係
○ 我が国においては、自助を基本としつつ、共助が自助を支え、自助・共助で対応できない場合に社会福祉等の公助が補完する仕組みが社会保障の基本。
○ このため、「保険優先の考え方」が原則。
○ 障害者総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係については、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」では、介護保険サービスが原則優先されることとなるが、サービス内容や機能から、介護保険サービスには相当するものがない障害福祉サービス固有のものについては、障害福祉サービスに係る介護給付費等を支給することや、障害福祉サービスについて当該市町村において適当と認める支給量が、介護保険サービスのみによって確保することができないものと認められる場合には、介護給付費等を支給することが可能であること
などの取扱いを示すとともに、障害保健福祉関係主管課長会議において適切な運用に努めていただくよう周知してきた。
※要介護認定等の申請を行わない障害者に対しては、申請をしない理由や事情を十分に聴き取るとともに、継続して制度の説明を行い、申請について理解を得られるよう丁寧に働きかけるよう改めてお願いする。
5 地域生活支援拠点等の整備促進について
(1)地域生活支援拠点等の整備促進
○ 障害者の重度化・高齢化や「親亡き後」も見据えつつ、障害児者の地域生活支援を推進する観点から、地域における課題の解決を目指す「地域生活支援拠点等」(以下「拠点等」という。)の整備をお願いしているが、平成31年4月時点では、整備済が332市町村(うち、圏域整備:42圏域189市町村)。
※令和元年度障害者総合福祉推進事業において、「地域生活支援拠点等の整備に関する実態調査」を実施
6 障害者の就労支援の推進等について
○ 平成30年4月と平成31年4月を比較すると、改定後の状況は次のとおりであり、全国的に見ると、平成30 年度報酬改定により見込んだ効果は概ねあったと考えられる。
・ 就労移行支援は、定着率の高い事業所・利用者が増加
・ 就労継続支援A型は、平均労働時間が短時間の事業所・利用者は減少し、4時間以上5時間未満、5時間以上6時間未満の事業所・利用者が増加
・ 就労継続支援B型は、平均工賃月額が高い事業所・利用者が増加
・ 就労定着支援は、令和元年7月時点において、就労定着率7割以上の事業所・利用者が8割超。
7 訪問系サービスについて
(1)入院中の重度訪問介護の利用について
○ 病院側でそのことが理解されておらず、利用者が入院時にヘルパーの利用を認めてもらえないといった声が寄せられている。
8 強度行動障害を有する者等に対する支援について
9 相談支援の充実等について
10 障害者の地域生活への移行等について
共同生活援助(グループホーム)の利用促進について
① 日中サービス支援型グループホームについて
令和元年10月時点で、36都道府県の114事業所において1388人の方が利用。
11 障害者虐待の未然防止・早期発見等について
○ 養護者による虐待と判断された件数は平成29年と比較して3.5%の増加となり、施設従事者等による虐待と判断された件数は、平成29年度と比較して28%の増加。
12 成年後見制度の利用促進について
○ 地方自治体の実施要綱において、市町村申立に限定している例や、助成対象者の収入要件・保有資産要件を設けている例が散見される。事業の対象者について法律上は、このような限定を設けていないため、地方自治体における実施要綱の内容を改めて確認し、必要な対応を検討されたい。また、事業未実施市町村におかれては、積極的に事業を実施されたい。
14 発達障害者支援施策の推進について

◇精神・障害保健課
(略)
◇文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課
○障害福祉サービス事業所と特別支援学校との連携等について
※特別支援学校における教育に対する理解や事業所と特別支援学校との連携への配慮をお願いしたい。また、特別支援学校を所管する教育委員会との関係づくりや情報交換にも留意いただきたい。
○ 特別支援学校(聴覚障害)における乳幼児教育相談の充実について

 さらに、大阪府の予算案も公表されています。府の新規事業等の提案は、以下の通りです。
【大阪府新規事業案】
【新】重度障がい者地域生活支援体制整備モデル事業
目的:重度知的障がい者に対応可能なグループホームを運営する法人を養成し、重度知的障がい者の地域での生活を支える体制を整備する。
内容:先駆的に取り組む事業所のノウハウを活用し、実地研修、事業所でのコンサルテーション研修により、重度知的障がい者に適切な支援を行う上で必要となる知識や技術を有する法人を養成する。養成する法人 2法人(250万円)
【新】重度障がい者就業支援事業
 働く意思と能力をもちながら働くことのできない方に対する就労機会を拡大し障がい者の社会参加を促進するため、常時介護を必要とする重度障がい者の就業中における日常生活に係る介助等を支援する市町村(令和2年度は政令市と試行実施)に対し、必要な経費を助成。(5728万8千円)
【新】福祉情報コミュニケーションセンター運営費(3億1905万4千円)
【新】母子・父子福祉センター運営費(1989万3千円)
【新】介護職員処遇改善加算取得促進支援事業
 介護職員処遇改善加算の新規取得等に向け、専門的な相談員(社会保険労務士等)の派遣等による個別の助言・指導を実施。(1993万8千円)
○災害派遣福祉チーム(DWAT)構築事業
災害時要配慮者の避難生活中における福祉ニーズに対応するため、チーム員養成研修等を実施し、大阪府災害派遣福祉チーム(大阪DWAT)を派遣できる体制を整備(300万円)
【新】被保護者健康管理支援事業(生活保護法運営費)
 被保護者の健康・医療情報の調査分析結果に基づき、生活習慣病予防等による自立支援の強化及び医療扶助費の適正化を推進。試行・準備期間を経た後、令和3年1月より、本格実施。(1229万8千円)