大阪障害者センター 壁ニュース

新型コロナ対策の中、障全協が稟議型総会を提起!~総会議案書概要を紹介~

「壁ニュース」テキスト版 2020/03/31

新型コロナ対策の中、障全協が稟議型総会を提起!
~新型コロナ対策JDFからも要望提出!~

 新型コロナウィルスの猛威が徐々に拡大していく中、障全協は、例年東京で開催されていた全国総会を中止し、稟議型の議案を提案、今後新型コロナ対策の動向を見ながら、各ブロック会議での討議を行うとしました。
 以下、2020年度の総会議案書の概要を紹介します。

【障全協総会議案概要】
〔1〕第54回総会の意義
 第54回総会は、新型コロナウイルス感染の影響で異例の方法での方針決定を迫られました。世界180をこえる国・地域で50万人以上が感染し、2万人以上が死亡しているというこのウイルス感染・拡大によって、社会・経済がマヒし、企業倒産・大量の失業者、学校等公共施設の閉鎖、生活物資の不足など、かつてない不安と苦難を人々に与えています。
日本においても、1292人が感染、45人が死亡(3月26日現在、厚生労働省発表)
という状況にあり、学校の一斉休校、各種イベント・集会の開催自粛、不要不急の外出禁止などが国民に要請されています。感染終息のためとはいえ、どう対応すべきか、いつまでの要請なのか、二転三転する政府の唐突な方針転換に多くの国民が不安と疑問を募らせています。
 安倍政権は、3月26日、新型コロナウイルス感染症対策本部(第23回)を開催し、
「政府対策本部」の設置(特措法第15条)を決定、同様に各都道府県対策本部の設置も求めています。危惧すべきは、先に十分な審議もなく強行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の「改正」による「緊急事態宣言」の発動であり、これにより外出禁止、集会・イベントの開催制限など国民の自由と人権の幅広い制約が強いられることであり、宣言発動ではない迅速で効果的な対策・対応が求められています。また50兆円規模の緊急経済対策で現金給付・商品券配布等の検討がすすめられていますが、昨年10月からの消費税10%への引き上げが深刻な消費不況をもたらしている上のウイルス感染拡大が日本経済を危機的な状況に追い込んでいる以上、消費税減税等の抜本的な方策こそが今日ほど求められている時はありません。
障全協・加盟組織は、障害者・患者、家族の暮らしと健康・いのちを守るために、多くの国民と足並みをそろえて、新型コロナウイルス感染の一日も早い終息を求める必要なとりくみを進めなければなりません。また、こうした緊急時にこそ対応できる医療・福祉施策の基盤整備、人材の確保・養成、報酬単価の増額など、社会保障・社会福祉、教育の抜本的な改善・拡充を求めていかなければなりません。
本年1月1日、現役の会長である中内福成氏が永眠されました。社会保障・障害者運動を通して、「暮らしと平和、民主主義」を守る、憲法を守る運動の先頭に立って奮闘されてきたその姿を忘れることはできません。「障害児者の暮らしの場の確保」「障害者・家族に寄り添う福祉事業の確保」など、生前に力を込めて進めてきた課題は、障害者施策上の根本的問題の解決、「全世代型社会保障改革」に対峙するものであり、なによりも緊急時をも念頭においた運動課題でもあります。2020年度の運動を進めるにあたって、中内氏の遺志を受け継ぎ、運動前進に全力をあげることをすべての加盟組織によびかけます。
 
〔2〕2019年度運動総括(案)
1.自然災害・ウイルス感染の脅威に対するとりくみ
2.憲法を守るとりくみ
3.障害者・家族の切実な願いの実現を求めるとりくみ
4.組織・財政の確立・強化をめざすとりくみ
5.日本障害者センターの協力・強化のとりくみ

〔3〕障害者・家族をめぐる情勢(案) 1.隠ぺい政権による改憲を許さない! 2.障害者差別を助長する「全世代型社会保障」はNO!
3.憲法25条に基づく社会保障・障害福祉の拡充を!
4.特別支援教育の真の充実を!
5.既存の枠組みを超えて運動の輪を広めよう!

〔4〕2020年度運動方針(案)
1.憲法改悪に反対する運動に全力をあげます!
2.新型コロナウイルス感染・自然災害の脅威に対する運動をすすめます!
3.障害者・家族の生活実態、切実な要求に基づく運動をすすめます!
(1)「障害児者の家族のくらしと健康に関する実態調査」結果をまとめ、「全国障害児者の暮らしの場を考える会」と共有し、記者会見・厚生労働省懇談・国会審議に持ち込みます。また、調査結果に基づく学習会・懇談会等を開催するとともに、地方「考える会」の結成をよびかけます。
(2)「介護保険優先原則に関する自治体アンケート」結果をまとめ、記者会見・厚生労働省懇談・国会審議に持ち込み、介護保険・障害福祉サービスの抜本改正をもとめます。(国会請願署名の項目を含む)
浅田訴訟全面勝訴の共有し、判決内容をふまえた障害者総合支援法の改正を求めます。引き続き天海訴訟を支援します。また、「介護保険・介護保険優先原則」問題に関心をもつ団体・個人との共同を強め、世論と運動支援を広げるための院内集会等を開催します。
全国肢体障害者団体連絡協議会がよびかける「障害福祉サービスの継続を求める運動」を引き続き支援・協力していきます。
(3)自治体障害者医療費助成制度の改悪を許さないとりくみとともに、国制度化を求めて運動します。2020年度は全自治体を対象に、①国に現物給付方式による障害児者医療費助成制度の創設、②ペナルティー(罰則)の中止、③当面、自治体単独事業としての重症心身障害者(児)医療費助成制度に対する財政支援等を内容とした「意見書採択」運動をよびかけます。
(4)消費税増税に反対する共同行動に積極的に参加します。
4.「介護保険・障害福祉サービスにおける負担軽減等を求める国会請願」 署名・募金運動に引き続きとりくみます!
5.障害者権利条約にふさわしい施策実現を求めます!
6.運動推進のための集会等を開催します!
(1)「障害者の生活と権利を守る第54回全国集会・中央行動」
2020年11月15日(日) 国立オリンピック青少年総合センター・11月16日(月) 中央行動(各省交渉・国会請願等)
(2)「第38回活動者学習会・地域運動交流会」
2020年8月22日(土)~23日(日) 開催地:富山県依頼中
「第30回専従者交流会」
2020年8月23日(日)~24日(月) 開催地:富山県依頼中
7.共同・連帯の輪を広げます!
8.組織・財政の確立・強化にとりくみます!9.日本障害者センターの事業推進等に役割を果たします!
〔5〕2020年度役員(案)
○顧問 吉 本 哲 夫
○〈新〉会長 新 井たかね 〔障害者の生活と権利を守る埼玉県民連絡協議会〕
○副会長
・市橋 博 〔障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会〕
・田中章治 〔全日本視覚障害者協議会〕
・〈新〉播本裕子 〔障害者(児)を守る全大阪連絡協議会〕
・〈新〉渡辺 覚 〔全国肢体障害者団体連絡協議会〕
○事務局長      白沢 仁
○事務局次長 家平 悟
○幹事団体(18団体)


新型コロナ対策でJDFが要望を取りまとめ提出
     
 こうした中で、JDF(日本障害者フォーラム)は3/27「新型コロナウイルス感染症に関する要望(第一次)」を内閣及び厚労省に対し配信しました。
 以下、その要望の骨子をご紹介します。

【要望骨子】
1.誰一人取り残さない対策と、障害当事者の参画
2.予防・検査・医療体制
(1)マスク、消毒液、手袋等の衛生用品、必要な医療用品を、障害者、および支援者・支援事業所に優先的に供給してください。
(2)検査ならびに医療を、必要な障害者がすみやかに/優先的に受けられるよう、手順を明確化してください。
3.情報提供と相談体制
(1)情報アクセシビリティを確保してください。
(2)偏見や不安を招かない正しい情報を発信してください。
(3)相談窓口へのアクセスを確保してください。
4.サービスの継続確保・障害者支援事業所等の支援
(1)今後とも想定される休校、事業所等の休業、外出制限などにより、障害者が必要な支援から隔離されたり、または福祉サービスの利用を実質的に制限されることのないようにしてください。
(2)障害者支援事業所等が事業を継続できるよう、支援してください
・利用者が休所する場合の報酬や、職員が休所したり、事業所がやむを得ず休業する場合の運営費、人件費などの支援を行ってください。報酬等の算定にあたっては、前年度の実績を踏まえたり、日割りではなく月割りで算定することも含めて対応してください。
・イベント等の中止に伴う販売収入の減少等の救済措置を行ってください。
・施設、事業所における感染などのリスク管理や、感染者が出た際の対応、自主休業の基準など、ガイドラインを示してください。

5.障害者の生活支援、人権擁護等
(1)障害者に対する物品や資金の特別支援を行ってください。
(2)視覚障害のあはき師などの自営業者を支援してください。
(3)施設入所者、入院中の障害者についても特別な配慮を行ってください。
・集団感染などのリスク管理や、感染時の対応と支援について、一人一人に情報が届くようにしてください。
・入所者、入院中の障害者の面会については、制限が行われることにより、本人/家族等の様子が相互に分かりづらくなり、この状況の中で今後何が起こるのか不安を感じるなどの声が寄せられています。家族・相談支援事業者など支援者の面会は一律に制限せず、必要に応じて確保されるようお願いします。
(4)休校・事業所等の休業要請、緊急事態宣言については慎重に判断してください。

 今後、新型コロナ対策の動向は予断を許さない状況となっていますが、的確な情報に基づいて、冷静に対応することとともに、さらに感染拡大や長期化することも想定しながら、前向きな対応策を準備していくことも求められます。