大阪障害者センター 壁ニュース

新型コロナウィルス対策は急務!~厚生労働省が示した補正予算での対応~

「壁ニュース」テキスト版 2020/04/16

新型コロナウィルス対策は急務!
~厚労省が示した補正予算での対応~

 新型コロナウィルスの感染拡大は、日々深刻な状況となる中、「緊急事態宣言」等が出され、休業要請やその際の保障の問題など、まさに待ったなしの対応が求められています。
 大阪でも、障連協やきょうされんを中心に、各現場での混乱等に対して、大阪府等に対して緊急要望等が行われていますが、様々な意味で、国・府とともに、各市町村がその窓口となる中で、相次ぐ通知等の取り扱いについても、様々な混乱が続いています。
 こんな中、厚労省は令和2年度補正予算を提案しています。
 追加額は、1兆6,371億円(うち労働保険特別会計 9,101億円)となっています。

【厚労省補正予算の概要】

第1 感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発:6.695億円
(1)病床の確保、医療機器導入の支援など医療提供体制の整備
○ 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称)の創設:1,490億円
○ 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称)の創設 1,490億円
 新型コロナウイルス感染症への対応として緊急に必要となる医療提供体制の整備等について、都道府県の取組を包括的に支援するための新たな交付金を創設し、受入病床の確保、応援医師等の派遣、軽症者の療養体制の確保など、以下の事業を都道府県が地域の実情に応じて柔軟かつ機動的に実施できるようにする。
・入院患者を受け入れる病床の確保、消毒等の支援
・入院医療機関における人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)、・個人防護具、簡易陰圧装置、簡易病室等の設備整備
・重症患者に対応できる医師、看護師等の入院医療機関への派遣
・DMAT・DPAT等の医療チームの派遣
医師が感染した場合の代替医師の確保
・帰国者・接触者外来等におけるHEPAフィルター付き空気清浄機、HEPAフィルター付きパーテーション、個人防護具、簡易診療室等の設備整備
・新型コロナウイルス感染症対応に伴う救急医療等地域医療体制の継続支援、休業等となった医療機関の再開等支援
・外国人が医療機関を適切に受診できる環境の整備
・軽症者の療養体制の確保、自宅療養者の情報通信によるフォローアップ
・帰国者・接触者相談センターなど都道府県等における相談窓口の設置
・患者搬送コーディネーター配置、広域患者搬送体制、ドクターヘリ等による搬送体制の整備
・都道府県における感染症対策に係る専門家の派遣体制の整備
・地方衛生研究所等におけるPCR検査機器等の整備 等
○ 人工呼吸器の確保 265億円
○ 重症者増加に備えた人材確保等 4.3億円
○ 国立病院機構・地域医療機能推進機構における医療提供体制の整備:65億円
○ 感染拡大防止のための歯科医療提供体制の整備 0.5億円
○ 新型コロナウイルス感染症患者等への支援 188億円
 新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費について、公費により負担する。また、電話や情報通信機器による服薬指導等を行った患者に対して薬局が薬剤を配送等する費用を支援する。
○ 情報収集・分析体制の整備 17億円
(2)治療薬・ワクチンの研究開発
○ ワクチン・治療法の開発促進等 275億円
○ 国際連携の強化 161億円
(3)マスク、消毒用エタノール等の確保など感染拡大防止策
○ マスク、消毒用エタノール等の物資の確保 1,838億円
○ 福祉施設における感染症拡大防止策 272億円
○ 小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援 1,673億円
○ 特別支援学校等の臨時休業に伴う放課後等デイサービスへの支援等
123億円
 品薄で確保が困難となっているサージカルマスク、N95マスク、ガウン、フェイスシールド、消毒用エタノール等を国で買い上げ、必要な医療機関等に優先配布を行うとともに、必要に応じて備蓄を行う。再利用可能な布製マスクや医療用以外の使い捨てマスクを買い上げ、高齢者福祉施設、
障害者福祉施設、児童福祉施設等に配布するとともに、妊婦に布製マスクを配布する。また、再利用可能な布製マスクを買い上げ、全世帯を対象として1住所当たり2枚ずつ配布する。
 また、高齢者福祉施設、障害者福祉施設、児童福祉施設等での新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、都道府県等が施設等へ配布する消毒用エタノール等の一括購入、施設等の消毒、感染症予防の広報・啓発、多床室の個室化に要する改修等に必要な費用を補助する。
○ 小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援 1,673億円 新型コロナウイルス感染症への対応として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた企業に対する助成金を支給する。
また、同様の理由で委託を受けて個人で仕事をする方が、契約した仕事をできなくなった場合にも支援する。
○ 特別支援学校等の臨時休業に伴う放課後等デイサービスへの支援等 123億円
 特別支援学校等の臨時休業に伴い、放課後等デイサービスの利用が追加的に生じた利用者負担等について支援する。
(4)水際対策の強化、検査体制の確保等
○ 検疫所における検疫・検査体制の強化 42億円
○ 検査体制の確保 49億円
○ クラスター発生地域への専門家派遣 4.3億円
(5)情報発信機能の強化と福祉サービスの確保
○ 外国人患者等への対応強化 7.3億円
○ 新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口等の設置、広報の充実 35億円
○ 福祉サービス提供体制の確保 157億円
 社会福祉施設等で働く介護職員、保育士等の職員が新型コロナウイルスの感染等により
出勤が困難となった場合、職員が不足する社会福祉施設等に他の社会福祉施設等から応援
職員を派遣し、サービス提供を維持する。また、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から休業要請を受けた通所介護サービス事業者、通所障害福祉サービス事業者等に対して、代替サービスの提供や他事業所との連携に要する経費を支援するとともに、在宅生活を強いられている障害者等に対する緊急的な相談受付等を行う。
第2 雇用の維持と事業の継続 9,627億円
(1)雇用の維持、就職支援等
○ 雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大 8,330億円
○ 内定取消者への就職支援、求職者支援訓練の拡充等 156億円
○ 外国人労働者に係る相談支援体制等の強化 3.7億円
○ 特別休暇制度の導入支援 3.2億円
○ 感染防止対策等による高年齢労働者の職場環境整備 5.0億円
(2)生活の支援
○ 国民健康保険料、介護保険料等の減免を行った市町村等に対する財政支援 365億円
○ 個人向け緊急小口資金等の特例貸付の実施 359億円
 新型コロナウイルス感染症の影響による休業等から収入が減少し、一時的な資金が必要な方に対し、緊急の貸付等を実施する。
○ 住居を失うおそれのある生活困窮者等への支援の拡充 27億円
○ 未払賃金立替払の迅速・確実な実施 27億円
○ 生活支援、包括的支援等に関する相談体制の強化 18億円
(3)事業の継続支援
○ 生活衛生関係営業者への資金繰り支援の拡充等 294億円
○ 医療・福祉事業者への資金繰り支援の拡充 41億円
 新型コロナウイルス感染症の影響により休業した又は事業を縮小した医療・福祉事業者
の資金繰りを強力に支援するため、独立行政法人福祉医療機構による無利子・無担保等の危機対応融資の拡充を行う。※NPOの場合は雇用調整助成金で対応
第3 強靱な経済構造の構築 54億円
○ 医薬品安定確保のための原薬等設備整備の支援 30億円
○ 中小企業等におけるテレワーク導入支援 10億円
○ 介護支援専門員研修等オンライン化等事業 4.6億円
○ 通いの場の活動自粛下における介護予防のための広報・ICT化支援 4.0億円
○ 障害福祉分野におけるICT・ロボット等導入支援 5.1億円

【新型コロナウイルス感染症に関する緊急経済対策について(障害保健福祉部関係)】

○障害福祉サービス等の衛生管理体制確保支援等事業 69億円
 障害者支援施設等について、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から 、 都道府県等が施設等へ配布する障害児のための小型マスクの卸販社からの一括購入等 、施設等の消毒 、感染症予防の広報・啓発に必要な費用を補助する 。
○障害者支援施設等の多床室の個室化に要する改修(社会福祉施設等施設整備費補助金)
 10億円
○特別支援学校等の臨時休業に伴う放課後等デイサービスへの支援等事業 123億円
(1)学校の臨時休業により追加的に生じた利用者負担の補助に係る経費
(2)代替サービスの提供に係る利用者負担の補助に係る経費
(3)居宅レスパイトの提供に係る経費
(4)感染防止のための福祉タクシー券配布に係る経費
(5)学校の臨時休業に伴う給付費の増に係る障害児入所給付費等国庫負担金
○遠隔手話サービス等を利用した聴覚障害者の意思疎通支援体制の強化 6億円
 都道府県に対して、新型コロナウイルスや災害時にも活用できるよう、遠隔手話サービスを実施するための 導入 経費を支援することにより感染予防を進め、地域において聴覚障害者等が安心して相談等できる体制の整備を図る。※タブレットやスマホを通じて、遠隔手話を行うことができるサービス(聴覚障害者 情報提供施設や民間企業が提供)
○新型コロナウイルス感染症に対応した心のケア支援 5億円
 新型コロナウイルス感染症への対応が長期化することに伴い、心身の変調が生じる住民が増えていくことが予想されるため、十分な精神保健上の支援(心のケア)を実施できるよう、精神保健福祉センターや保健所等への財政支援を実施する。
○新型コロナウイルス感染拡大に伴う地域活動支援センターや日中一時支援事業の受け入れ体制強化等 13億円
 地域活動支援センターや日中一時支援における新型コロナウイルスへの対応に係る支援に必要な人件費や消毒液の購入等
○障害福祉サービス確保のための支援策
 通所サービス事業所等に対し、通常では想定されない「関係者の緊急かつ密接な連携」や 「特別な形でのサービス提供」に関する取組に対して支援を行う 。
(対象となる費用として想定される主な例)
1 休業要請を受けた通所事業所等のかかりまし経費
【縮小してサービスを提供する場合 】
・通所サービス事業所が居宅を訪問するために必要な交通費やリース料
・通所サービス事業所が居宅を訪問するために必要な衛生用品や各種機器の購入費
【訪問によるサービス提供に切り替える場合 】
・訪問サービスを提供するための職員確保に必要な賃金
・訪問サービスを学ぶため、ヘルパーに同行を依頼するために必要な謝金
・利用者の居宅等へ訪問するために必要な交通費やリース料
・衛生用品や各種機器の購入費 、 損害賠償責任保険料
2 休業要請を受けた通所サービス事業所等の連携先事業所 利用者を受け入れた事業所等 のかかりまし経費
・新たな利用者を受け入れるための調整に係る事務費
・利用者を追加で受け入れることに伴う職員確保に必要な賃金
3 都道府県等の事務費
○就労系障害福祉サービス等の機能強化事業
①共同受注窓口の活性化
②生産活動の拡大等の支援強化
③就労支援等障害福祉人材マッチング支援事業の実施
④障害者就業・生活支援センター 生活支援の強化
○心身障害児総合医療療育センターにおける感染症対策のための施設整備 95百万円
○障害福祉サービスにおけるテレワーク等導入支援事業 5億円
 就労系障害福祉サービスにおけるテレワーク支援については、感染症拡大防止の観点から 、在宅就労を推進するために 、就労系障害福祉サービス事業所におけるテレワークのシステム導入経費等を補助することに加え、「 導入に向けた個別コンサルティング」や「在宅での作業受注に係る営業活動」に係る経費への補助なども追加するとともに 、発達障害児・者の支援としても 、専用VR機器等を活用したソーシャルスキルトレーニングの学習を推進するなど 、 多様な支援が可能となるようなパッケージ支援として実施する 。
○障害福祉分野のICT導入モデル事業 4億円
○障害福祉分野におけるロボット等導入支援 1億円

 現在、国でも様々な対策についての議論が進められていますが、何より、保健・医療・福祉、介護は、まさに最後の砦としての機能が求められていますが、長期化し先が見えない中で、医療も福祉も現場の疲労はピークに達してきています。
 こうした現状をしっかり踏まえた適切な対応が緊急に測られるとともに、自治体ごとに対応の見解が異なることなく、一貫した適切な支援となるよう引き続き現場からの声を届けていくことが求められます。