大阪障害者センター 壁ニュース

遅れる障害者の暮らしの場への支援!~利用者も支援者も双方守れる対策を緊急に!~

「壁ニュース」テキスト版 2020/06/09

新型コロナ対策、遅れる障害者の暮らしの場への支援!
~利用者も支援者も双方守れる対策を緊急に!~

 新型コロナ対策等の見通しが十分つかない中、政府は、第二次補正予算案を上程し、さらに、前代未聞の予備費、10兆円を計上し、国会を閉幕しようとしています。しかし現在でも医療機関や福祉事業の見通しや学校再開のめどが十分つかないうえに、経済活動への大きな影響で経済活動を含め、国民の暮らしそのものが崩壊しかねない状況が続いています。
※大阪府下の自治体での各種支援策等は、大阪社保協HPで各自治体ごとの施策等が紹介されています。
 確認しながら対応することと自治体間格差についてもしっかりと要望を進めることが大切です。

障害者の暮らしの場での課題とは

 こんなな中で、障害福祉分野でも、障害者の暮らしの場である入所施設やグループホームでの支援をめぐって、大変な問題が浮上しています。
 これは、厚労省が配信した、5/4付の「障害者支援施設における新型コロナウイルス感染症発生時の具体的な対応について(令
和2年5月4日付け事務連絡)」をめぐってです。
 この通知の中では、入所施設・GH等については、「高齢者や基礎疾患を有する者など以外の方で、症状がない又は医学的に症状が軽い方をいう。以下同じ。)については、入院しない場合があり、障害者支援施設を利用する障害者についても、この考え方は同様であること 。こうした入院体制が移行した地域において、 新型コロナウイルス感染症に感染した障害者支援施設の利用者が、軽症者等に該当すると医師が判断した場合には、当該障害者の障害特性を踏まえ、必要な準備 や感染症対策 を行った上で、施設内で療養することも考えられること。」とされたいます。
 実際、現在でもいわゆる「軽症者」だけに限らず、行動障害等常時介護を有する人たちの入院加療の問題は、実際上現在の医療体制の中や隔離施設等での対応についても放置皿たままとなっているのが現状です。
 結局、医療的支援が十分受けれないまま、家族や事業所が、こうした感染者への対応を図らなければならない状況を是認して、家族や事業所職員にその負担を押し付けるものとなっていることも深刻な課題といえます。
 特に、こうしたガイドラインでは、すでに問題となっている施設での「クラスター」の発生や、職員・介助者の濃厚接触による感染の拡大、場合によっては感染職員による支援倒壊を招きかねない問題が発生します。
 この間、5/28にこの通知を補強する「Q&A」も出されましたが、基本的な対応方向は、そのままの状況となっています。
 こうした、感染者が出た場合の対策として、保健所等との連携や、職員が感染した場合の職員補充に関する「社会福祉施設等の介護職員等の確保支援事業」(社会福祉施設等で働く介護職員等が新型コロナウイルス感染症に感染等することにより、社会福祉施設等で働く介護職員等の出勤が困難となった場合、職員が不足する社会福祉施設等に他の社会福祉施設等から応援職員を派遣し、社会福祉施設等のサービス提供を継続する。)等の提案がなされていますが、感染防止のための備品の不足等や本来の環境条件のため、いったん感染者が発生すれば、どうなっていくのか全く戦々恐々とした状況となっているのが現状です。
 また、医療従事者家族への様々な偏見や差別等の状況もあり、地域での風評被害も発生する中では、本当にこうした支援がどの程度継続していけるか、職員の退職や支援拒否なども含め、まったく混乱や不安を回避できるような状況とはなっていません。
 また、居宅介護のヘルパーさんの中でもこうした支援上の不安なども出されています。
 まさに障害者の暮らしをどのように守っていくのか、そのための施策を今回のコロナ対策を通じて緊急に議論しなけらばならない状況となっていると思います。
 障害者の医療とくらしを守るための制度の在り方が根本的に問われる課題となているも言えます。
 早急に現場からの様々な発信が求められます。

現場からの提案

 こうした状況について、少しずつマスコミなどでも取り上げられていますが、「リディラバジャーナル」で取材を受けた、きょうされん事務局次長の坂下さんは、以下のように主張しています。
〇「閉所できない」切実な理由
〇ヘルパーのサポートが受けづらい状況
「そもそも障害のある人は、人の支えで生活が成り立っています。いま言われているような『人との接触を避ける』という生活様式は、障害のある人にとっては、強い言い方をすれば『死』を意味しています」感染リスクを避けるために、人との接触を極力避ける生活を余儀無くされている現在だが、障害者にとっては、それは命や普通の生活そのものが脅かされていることになる
〇生活に必要な支援の利用・提供ができる環境を
・障害をもつ人やその家族、事業所の職員、ヘルパーが、PCR検査を受けられるように・感染拡大防止のために自粛が求められる一方、障害をもつ人がこれまで通りの暮らしを続けていくためには、感染リスクを避けられる体制で、従来のサービスを提供できる環境を整えること
・「医療と比べると、障害や介護などの福祉業界は後回しにされがちですが、命と健康を守る重要な事業であることには間違いありません。PCR検査のほかにも職員への防護服の支給など、双方が安心して福祉サービスを利用・提供できる体制を整えて!
 事態の収束の見えない中、こうした声をもっと大きな声に広げていくことが重要です。