大阪障害者センター 壁ニュース

どうなる障碍者福祉サービスの行方?~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム協議本格化!~

「壁ニュース」テキスト版 2020/08/31

どうなる障碍者福祉サービスの行方?
~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム協議本格化!~

 新型コロナ対策を含め、利用者・家族・現場での大きな混乱が続き、感染予防対策を含め、障害福祉サービス自体にも事業閉鎖等深刻な影響が続く中、次年度からの制度維持にも大きな影響がある「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の検討が加速しています。
 この間、46団体からのヒヤリングを受けて(ヒヤリング内容の整理表はHPでアップされています・)、8/27の第13回会議で、今後の検討課題の整理が行われ、本格的な議論が進むこととなりますが、一方で、次年度の概算要求等もまもなく提案され、年末の予算編成に向けその審議が加速することとなります。
 今回提案された、検討課題は以下のように整理され提案されています。

【令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた主な論点】

○ 障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)の施行から14年が経過し、現在、障害福祉サービス等の利用者は約120万人、国の予算額は約1.6兆円(事業費ベースで約3.2兆円)となり、法施行当初と比較するとそれぞれ約3倍に達しているなど、障害児者への支援は年々拡充している。
 また、本年5月には、令和3年度から令和5年度までの第6期障害福祉計画及び第2期障害児支援計画を作成するための基本方針が示されたところである。
○ そのような中で、今回の令和3年度障害福祉サービス等報酬改定においては、平成30年度に創設されたサービスの整備状況を踏まえつつ、障害者の重度化・高齢化、医療的ケア児や精神障害者の増加などに伴う障害児者のニーズに対応するため、エビデンスに基づく報酬改定を行う必要がある。
○ また、現役世代が減少し、福祉人材の確保が困難な状況である一方、利用者数・事業所数が大幅に増加しているサービスもあることから、サービス提供を行う施設・事業所の状況等を踏まえた上で、制度の持続可能性を確保する観点からも適切な報酬を設定することが必要である。

【主な論点(案)】
1.障害者の重度化・高齢化を踏まえた障害者の地域移行・地域生活の支援等
○ 地域における生活の場である共同生活援助について、平成30年度に創設した日中サービス支援型の整備状況等も踏まえつつ、障害者の重度化・高齢化に対応していくための方策を検討する必要があるのではないか。
○ 障害者の重度化・高齢化等を踏まえ、地域生活を支えていくために整備が進められている地域生活支援拠点等について、その機能の充実を図るための方策を検討する必要があるのではないか。
○ 障害者が地域で安心して一人暮らしを継続できるように支援するために平成30年度に創設した自立生活援助の整備を促進するための方策を検討する必要があるのではないか。
【想定される検討事項】
・共同生活援助における重度化・高齢化に対応していくための方策
・地域生活支援拠点等における機能の充実を図るための方策
・自立生活援助の整備を促進するための方策

2.効果的な就労支援や障害児者のきめ細やかなニーズを踏まえた対応
○ 就労移行支援及び就労継続支援について、工賃等の向上や一般就労への移行の評価との関係も含めて、効果的な支援を評価するための方策を検討する必要があるのではないか。
○ 平成30年度に創設された就労定着支援の整備を促進するための方策を検討する必要があるのではないか。
○ 在宅生活の継続や家族等のレスパイト等の観点から、利用者のニーズに応じた短期入所を確保するための方策や緊急時の受入促進につながる方策を検討する必要があるのではないか。
【想定される検討事項】
・就労移行支援及び就労継続支援における効果的な支援を評価するための方策
・就労定着支援の整備を促進するための方策
・利用者のニーズに応じた短期入所を確保するための方策や緊急時の受入促進につながる方策

3.医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進
○ 医療的ケア児への支援について、客観的な指標に基づく評価方法を検討する必要があるのではないか。
○ 障害児通所支援(児童発達支援及び放課後等デイサービス)について、サービス内容や質に応じた評価方法を検討する必要があるのではないか。
○ 障害児入所施設の在り方に関する検討会における本年2月の最終報告を踏まえた見直しについて検討する必要があるのではないか。
【想定される検討事項】
・医療的ケアに関する判定スコアによる評価方法
・障害児通所支援のサービス内容や質に応じた評価方法
・障害児入所施設の在り方に関する検討会の報告を踏まえた見直し
4.精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進
○ 精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加(就労)、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指すために、障害福祉サービス等報酬や人員・運営基準等において取り得る方策を検討する必要があるのではないか。
【想定される検討事項】
・地域における居住支援の充実を図るための方策
・精神障害者の地域生活への移行や地域生活を送るための支援方策

5.災害や感染症の発生時も含めた支援の継続を見据えた対応
○ 災害や感染症の発生時においても、障害福祉サービス等が安定的・継続的に提供されるように、専門家との連携による日頃からの体制整備等について検討する必要があるのではないか。
○ 今般の新型コロナウイルス感染症に係るオンライン等を活用した在宅での支援の取扱い等を踏まえて、サービス支援の評価のあり方等について検討する必要があるのではないか。
【想定される検討事項】
・専門家との連携による日頃からの体制整備等
・新型コロナウイルス感染症に係るオンライン等を活用した在宅での支援の取扱い等を踏まえたサービス支援の評価のあり方

6.障害福祉サービス等の持続可能性の確保と適切なサービス提供を行うための報酬等の見直し
○ 障害福祉サービス等において利用者数・事業所数が大幅に増加しているサービスも見られるなど、その状況が変化する中で、制度の持続可能性を確保しつつ適切なサービス提供ができるよう、サービス提供を行う施設・事業所の実態等を踏まえた上で、報酬や人員・運営基準等の見直しについて検討する必要があるのではないか。
○ 現役世代が減少していく中、人材確保が困難な状況を踏まえ、障害福祉サービス等の現場における業務効率化を図るため、ICTの活用等を推進していくために、現場における実現可能性も考慮しつつ、報酬や人員・運営基準等の見直しについて検討する必要があるのではないか。
【想定される検討事項】
・サービスの内容や質に応じた評価を行うための報酬体系等の見直し(一部再掲)
・障害福祉サービス等の現場の業務効率化を図るためのICTの活用等の推進方策
・経過措置の取扱いに関する検討(食事提供加算・送迎加算・GHのヘルパー活用等)
※なお、この間の新型コロナ対策の概要もHPに掲載されていますのでご確認ください。
 各団体からの意見等も様々ですが、今回の新型コロナの影響で様々な課題も浮き彫りとなる中、抜本的な制度維持のための仕組みや人材の安定的な確保が行えるよう根本的な報酬等の在り方が問われる点も含め、しっかりとした議論や実効性のある制度の仕組みにしていくための議論が求められるところです。
 また、こうした議論の動向には引き続き目が離せられないものとなっています
※9/5大阪障害者センター管理者セミナーでもチーム一員の平野氏からの講演が企画されています。

新型コロナ対策で、厚労省が通知(8/26)

障害福祉サービス施設・事業所等に勤務する職員に対する慰労金支給に係る協力の依頼について( 令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(障害 分))

『障害福祉サービス施設・事業所等 に勤務する職員は、感染すると重症化するリスクが高い利用者との接触を伴い、継続して提供が必要なサービスであること等相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って業務に従事していることに対して、派遣労働者や業務委託を受けて働く従業員を含め、職種や雇用形態を問わず、慰労金を給付することとしています 。
 これまでに、当部 のコールセンター等への 御 意見において、
・職員が慰労 金の申請を希望しているのに、 施設・事業所 が慰労金を申請してくれない
・施設・事業所 が派遣労働者や受託業務従事者の分を申請してくれないという声が 届いてい ます 。
 本事業は、慰労金を迅速に給付するための仕組み として、障害福祉サービス施設・事業所等 を通じた一括申請の方法としております。 慰労金の要件に該当する職員や派遣労働者、業務受託者の従事者 が 慰労金を受け取るには、 障害福祉サービス施設・事業所等に申請書( 及び慰労金受領の 委任状)をとりまとめていただく必要がありますので、貴会におかれましては、各施設・事業所等によって 、
・職員や派遣労働者、業務受託者の従事者の 希望を踏まえて慰労金の申請を行うこと
・派遣会社、受託会社と連携・調整の上、とりまとめて申請を行うことが着実に行われるよう、障害福祉サービス施設・事業所等への丁寧なお願いや周知を行うとともに、 未申請の障害福祉サービス施設・事業所等への対応状況の確認や申請のお願いをするなどし、慰労金の 支給要件に該当する方々に慰労金が確実に届けられるよう特段の御配慮をお願いいたします。
なお、都道府県向けにも同様の趣旨で依頼文書を発出していますので、適宜連携の上、御 対応頂きますよう併せてお願いいたします。』

 この間、新型コロナ対策として打ち出された施策に対し、現場がしっかりとその活用等を図っていくこととともに、人離れを防ぐ意味でも、営利企業等であっても、そこで働く人への女性の意味を含め、こうした助成制度の適切な活用が求められるところです。