大阪障害者センター 壁ニュース

障害者福祉サービスの行方は?~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム課題・論点整理!~

「壁ニュース」テキスト版 2020/09/14

どうなる障碍者福祉サービスの行方?
~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム課題・論点整理!~

 各団体ヒヤリングなどを終えて、本格的な議論がスタートした、報酬改定チームの議論。9/11の第14回では、具体的事業別の論点が明示されました。令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(共同生活援助、自立生活援助、地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、地域生活支援拠点等)です。
 各事業別の、論点は以下のように整理されています。

□共同生活援助
【論点1】障害者の重度化・高齢化への対応
○ グループホームにおける重度化・高齢化への対応を図る観点から、重度障害者に対する加算や、日中サービス支援型グループホームの報酬、個人単位の居宅介護等の取扱い等についてどう考えるか。
◇検討の方向性
(重度障害者に対する加算)
○ グループホームにおける重度障害者の受入体制を整備するため、重度障害者支援加算の対象を広げてはどうか。
具体的には、現行制度上、重度障害者支援加算は重度障害者包括支援の対象者(障害支援区分6であって、意思疎通に著しい困難を有する者のうち一定の要件を満たす者(17ページ参照))に限定しているが、施設入所支援の重度障害者支援加算(Ⅱ)や短期入所の医療的ケア対応支援加算と同様に、障害支援区分4以上の強度行動障害者や医療的ケアが必要な者に対象を広げてはどうか。
(日中サービス支援型グループホームの報酬等)
○ 日中サービス支援型について、創設の趣旨や手厚い人員体制の有効活用の観点から、重度障害者の受入れのインセンティブが働くよう、現行報酬より重度者と中軽度者の報酬の差を拡大し、メリハリのある報酬体系に見直してはどうか。
また、制度を持続可能とする観点から、介護サービス包括型や外部サービス利用型も含め、経営状況を踏まえた報
酬の見直しを検討する必要があるが、検討に当たっては重度障害者の報酬に配慮しつつ、メリハリのある報酬への見直しを検討してはどうか。
(個人単位の居宅介護等の利用の特例的取扱い)
○ 重度障害者の個人単位の居宅介護等の利用については、重度障害者の受入体制の確保の観点から、引き続き継続することとしてはどうか。
【論点2】夜間支援等体制加算の見直し
○ 夜間支援体制の充実等の観点から、夜間支援等体制加算(Ⅰ)を見直してはどうか。
◇検討の方向性
○ 夜間支援等体制加算(Ⅰ)について、夜間における利用者への必要な支援の状況を踏まえて加算額を設定するなど、必要な見直しを検討してはどうか。
○ また、共同生活住居ごとの夜勤職員の配置に加えて、事業所単位で夜勤職員又は宿直職員を追加で配置し、共同生活住居を巡回等により対応する場合には更に加算してはどうか。
○ なお、現在、グループホームの夜間支援体制に係る報酬改定検証調査を実施しているところであり、その結果を踏まえて検討する。

□自立生活援助、地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)
【論点1】人員基準
自立生活援助を推進する観点から、サービス管理責任者と地域生活支援員の兼務を認める要件緩和を行うことについてどう考えるか。
◇検討の方向性
○ 自立生活援助を必要とする障害者にサービスが行き渡るよう、サービス管理責任者と地域生活支援員の兼務を認める方向で検討してはどうか。
なお、「業務の客観性の担保」については、自立生活援助と同様に、訪問や相談等を行う「地域移行支援」についても、地域移行支援従事者が自ら地域移行支援計画を作成し業務を実施しており、特段の支障はないと考えられる。
【論点2】標準利用期間
○ 自立生活援助の標準利用期間や支給決定期間の更新の取扱いについてどう考えるか。
◇検討の方向性
○ 標準利用期間を超えて更にサービスが必要な場合については、原則1回ではなく、市町村審査会の個別審査を要件とした上で、複数回の更新を認める取扱いとしてはどうか。
○ また、標準利用期間については、支給決定期間の更新の運用状況を踏まえつつ、今後の課題として引き続き検討することとしてはどうか。
【論点3】対象者の状況に応じた基本報酬の設定
○ 自立生活援助を推進する観点も踏まえ、基本報酬の対象者の範囲についてどう考えるか。
◇検討の方向性
○ 同居家族の死亡等により急遽一人暮らしをすることとなった者等の基本報酬についてどう考えるか。
【論点4】同行支援及び夜間の緊急対応・電話相談の評価
○ 自立生活援助の業務の適切な評価の観点から、複数回の同行支援や夜間の緊急訪問・電話相談の評価についてどう考えるか。
◇検討の方向性
○ 同行支援加算について、同行支援の回数等の実態を踏まえつつ、加算を算定する仕組みについてどう考えるか。
○ また、自立生活援助は、基本的なサービスである随時の訪問や電話相談は基本報酬において評価しているところであるが、特に業務負担が大きい深夜帯における緊急対応や電話相談については、地域定着支援の緊急時支援費を参考に、加算で評価してはどうか。
【論点5】地域移行実績の評価
○ 地域移行支援の取組の推進や地域移行に向けたインセンティブを高めるため、地域移行実績の更なる評価についてどう考えるか。
◇検討の方向性
○ 前年度の地域移行実績が特に高いと認められる事業所について、更なる評価を検討してはどうか。

□自立訓練(機能訓練・生活訓練)
【論点】自立訓練における支援の在り方
○ 自立訓練における支援の在り方についてどう考えるか。
◇検討の方向性
○ 自立訓練における支援の在り方について、訓練効果の標準的な評価手法の検討や、機能訓練及び生活訓練の対象者の見直し後の運用状況等を踏まえ、引き続き、検討していくこととしてはどうか。
※自立訓練における標準的な支援手法・評価手法に関する厚生労働科学研究(令和2・3年度)
○研究課題名
障害者に対する社会リハビリテーションの支援プログラム及び評価手法の開発のための研究
○目標
・障害者が地域生活をするためには、医学的なリハビリテーションと地域生活を繋げるための、いわゆる「社会リハビリテーション」が有効であるが、障害福祉サービスとして社会リハビリテーションを提供している「自立訓練事業」において、標準的な支援手法や評価手法が明示されていないことを踏まえ、以下の研究を実施する。
・先行研究を分析しつつ、自立訓練を行う事業所を類型化し、各類型の中で共通して行っている支援手法と、特定のニーズに対応した支援手法をそれぞれ抽出し、それぞれの支援プログラムと評価手法を検討し試行する。
・試行結果を踏まえ、令和3年度までに、自立訓練(機能訓練・生活訓練)の標準的な支援プログラムや評価手法・指標を提案する。
○求められる成果
・自立訓練事業所が目指すべき姿を明確にし、支援の質を向上させるため、また、障害福祉
サービス等報酬改定の方向性を検討するための基礎的資料として活用しうる、自立訓練事業の標準的な支援プログラムや評価手法・指標を示す資料。
・支援プログラムや評価手法・指標のエビデンスレベル(評価指標等の信頼性・妥当性、介入の効果等)を示す資料(研究班が作成した原著論文、研究班で収集した論文集等)。

□地域生活支援拠点等
【論点】地域生活支援拠点等の整備・機能の充実

○ 地域生活支援拠点等の整備や機能の充実を図る観点から、地域生活支援拠点等として、在宅の障害者の緊急時の短期入所の受入れや訪問対応を行う事業所の報酬について、どう考えるか。
◇検討の方向性
○ 市町村が地域生活支援拠点等として位置づけた短期入所事業所や緊急対応を行う訪問系サービス、自立生活援助、地域定着支援事業所について、地域生活支援拠点等としての役割を評価し、一定額の加算を検討してはどうか。
○ 特に、短期入所事業所については、緊急時の受け入れ先を十分に確保する観点から、市町村が地域生活支援拠点等として位置づけた短期入所事業所におけるサービスについて、緊急対応した場合に限らず一定額を加算する方向で検討してはどうか。