大阪障害者センター 壁ニュース

障害者福祉サービスの行方は?~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム課題・論点整理②!~

「壁ニュース」テキスト版 2020/09/29

どうなる障碍者福祉サービスの行方?
~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム課題・論点整理②!~

 報酬検討チームの第15回が9/24開催され、前回に続いて、「就労移行支援、就労定着支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型」の検討とその方向性が提案されています。
 今後、10/5「障害児通所支援等」が提案される予定です。
 就労系など直接影響をうける事業所も多い中、今後の議論が注目されます。

1.就労移行支援
【論点1】基本報酬について
◇検討の方向性
○ 各事業所の実績が引き上がったことからも、平成27年社会保障審議会障害者部会報告書の内容を踏まえ、引き続き、実績に応じた報酬体系としてはどうか。また、実績としては、引き続き「就労定着率」で評価してはどうか。
○ その上で、各事業所の実績をより的確に反映するため、標準利用期間が2年間であることを踏まえ、「就労定着率」は過去2年間の実績を踏まえたものとすることを検討してはどうか。
【論点2】支援の質の向上について
◇検討の方向性
○ 事業所が実施する支援は多岐にわたることから、障害者本人の希望や適性・能力に合わせて、それらを効果的に組み合わせてサービス提供するためには、まずは確実に、各事業所において、障害者本人の希望や適性・能力を的確に把握・評価(アセスメント)することが必要である。このため、アセスメントについて、地域のノウハウを活用し、その精度を上げ、支援効果を高めていくための取組(本人や他の支援機関等を交えたケース会議の実施等)を実施した場合には、当該取組を報酬において評価することを検討してはどうか。
○ また、就労支援の中心的な役割を担う「就労支援員」について、同一法人内の就労継続支援事業所や就労定着支援事業所等との就労支援ノウハウの共有や人材利活用の観点から、常勤要件を緩和し、常勤換算による配置も可能とすることを検討してはどうか。
【論点3】一般就労の範囲について
◇検討の方向性
○ 一般就労の範囲については、様々な雇用・勤務形態や労働時間数・日数において実際に働くことを実現した障害者がおり、また、短時間労働などの働き方を進める雇用施策の動向も踏まえると、一般就労した際の雇用形態等により一定の線引きは難しいのではないか。
○ このため、就労移行支援利用後の一般就労の範囲については、現時点においては、雇用形態等による線引きはせず、引き続き雇用契約の有無をもって判断することとしてはどうか。

2.就労定着支援
【論点1】基本報酬等について
◇検討の方向性
○ 各事業所とも高い実績で推移していることから、引き続き、実績に応じた報酬体系としてはどうか。また、実績についても、引き続き「支援期間の就労定着率」で評価してはどうか。
○ その上で、現行の7段階の報酬区分において、上位2区分に8割以上の事業所がいる一方で、下位2区分の事業所はほとんどいないことを踏まえ、よりきめ細かく実績を反映するため、7段階の各区分における実績の範囲(「就労定着率9割以上」等)の見直しを検討してはどうか。
○ 就職後6ヶ月経過した後に円滑に就労定着支援事業所による支援が開始できるよう、就労移行支援事業所及び就労継続支援事業所における6ヶ月間の職場への定着支援の(努力)義務の期間において、本人が希望する場合、就労移行支援事業所等が就労定着支援事業所等との連絡調整等を図る旨を就労移行支援事業所等の運営基準に規定することを検討してはどうか。
※ 就労定着支援事業所による支援が円滑に開始できるよう、就職日前後から就職後6ヶ月経過までの間に必要となる手続や対応などについて、標準的なフローチャートなどを作成し、広く周知することも検討。
○(再掲)(就労移行支援)事業所において、就労支援の中心的な役割を担う「就労支援員」について、同一法人内の就労継続支援事業所や就労定着支援事業所との就労支援ノウハウの共有や人材利活用の観点から、常勤要件を緩和し、常勤換算による配置も可能とすることを検討してはどうか。
【論点2】支給要件等について
◇検討の方向性
○ 支給要件である「利用者との対面による1月1回(以上)の支援」については、報酬を請求する上で、就労定着支援事業所が最低限実施しなければならないものとして設定しているが、これにより支援内容が徒に限定されてしまうおそれがあること等を踏まえると、引き続き支給要件は設けることとした上で、その内容の見直しを検討してはどうか。
○ 具体的には、
・就労定着支援は、最大3年間の中で、支援終了後も就労の継続が図られるよう、雇用されたことに伴い生じる日常生活又は社会生活上の問題への対処方法等を身につけていただく支援が求められること
・一方、本来、事業所が実施する支援は多岐にわたり、個別性が高いことからその内容を網羅的に示すことが難しこと
・定着支援において具体的にどのような支援が実施されたかについて、雇用する企業等と共有することはナチュラルサポート*の構築にも資すると考えられること等を踏まえ、特定の支援内容や方法を要件とするのではなく、どのような支援を実施したか等をまとめた「支援レポート」を本人その他必要な関係者で月1回共有することを要件とすることを検討してはどうか。
* ナチュラルサポートとは、一般的に、障害者を受け入れた企業の従業員が職場で障害者を支えることのできる体制づくりをいう(令和2年度版就業支援ハンドブック(2020年独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構編))。
○ また、就労定着支援を実施していく上で、「就業上の支援」や「健康上での支援」など、関係機関と連携した支援が必要である場合も多く、また、円滑な支援終了に向けた障害者就業・生活支援センター等との連携も必要である。これらの関係機関との連携を強化し、個別の支援における協力関係を常時構築するため、就労定着支援事業所の連絡調整のもと、関係機関とのケース会議等を実施した場合には、一定の限度において報酬上の評価を検討してはどうか。
なお、検討に当たっては、これらの関係機関と連携した支援については、支援期間に関わらずに必要となるものであることから、現在支援開始1年目についてのみ評価している、「企業連携等調整特別加算」の見直しと合わせて検討してはどうか。)

1.就労継続支援A型
【論点1 】 基本報酬について
◇検討の方向性
○他の就労系 サービスの状況を踏まえ、 引き続き、実績に 応じた報酬 体系としてはどうか。
○その上で 、「1日の平均労働時間」により就労継続支援A型の取組を評価することは、一定の合理性がある ものの、短時間から働きたいといった利用者 の支援ニーズ や経営改善により「働く場」としての健全化を図っている事業所の実態 を 十分に反映することが 難しい側面もあるため、一部見直す ことを検討してはどうか 。
○具体的には、就労継続支援A型が雇用契約の締結のもとで支援を実施するものであることを踏まえ、障害者が「働く場」と して更に質 を 高めていく観点 から 、「1日の平均労働時間」に加え、 例えば「経営改善計画の有無やその内容」や「キャリアアップの仕組みの有無やその内容」、「精神障害者等の短時間勤務希望者の受け入れ状況 」などの複数の項目における評価をスコア化し、当該スコアを実績と して評価 することを検討してはどう か。 なお、項目の検討に当たっては、質の高い支援を行っている事業所の取組内容や、「も にす 企業」の認定基準などを参考にしてみてはどうか。
○また 、事業所 のホームページ等を通じて 、当該スコアに係る 各項目 の評価内容をすべて公表することを事業所に義務づけることを検討してはどうか 。
※平成30年4月から開始している情報公表制度との連動についても検討
【論点2】 一般就労へ◇検討の方向性
○就労継続支援においても障害者 本人の希望と能力・適性に応じて一般就労への移行を実現して いくべきとの 観点から、 引き続き就労移行支援体制加算により移行実績等に応じた評価をすることとし、更なる評価も検討してはどうか 。
○また 、 就労継続支援から就労移行支援に送り出した場合について も 、一般 就労への移行に向けて 次のステップに上がったとして一定の評価をすることも検討してはどうか 。
○併せて、就労移行支援と同様に、就労継続支援についても、一般就労への移行の更なる促進を見込み、 作業療法士を福祉専門職員配置等加算における有資格者として新たに評価することを検討してはどうか 。
○(再掲 就労移行支援)事業所において、就労支援の中心的な役割を担う「 就労支援員」について、同一法人内の就労継続支援事業所や就労定着支援事業所との就労支援ノウハウの共有や人材利活用の観点から、常勤要件を緩和 し、常勤換算による配置も可能とすることを検討してはどうか 。
【論点3 最低賃金減額特例等について
○就労継続支援A型における最低賃金減額特例及び送迎加算についてどう考えるか。
◇検討の方向性
○最低賃金減額特例については、 約9割 の事業所において適用者がおらず、 また過去に適用者が3人以上いた事業所においても支援に より一般就労への移行者を多く出していることから 、 今回の報酬改定に おいては特段 対応しないこととしてはどうか 。
○送迎加算については 、送迎の理由として、「公共交通機関がない等地域の実情」や「重度障害などの障害特性」といったやむを得ない事情を多く含まれていることや、送迎の必要性を一律判断することなく、多くの事業所で個別に判断していることを踏まえ、 引き続き継続することを検討してはどうか。
その上で、就労継続支援A型が利用者と雇用契約を締結していることや利用者の知識や能力向上のために必要な訓練を行うものであるということを念頭に 、 事業所 へは利用者が自ら通う ことが基本である旨を改めて周知徹底することを検討してはどうか 。

2.就労継続支援B型
【論点1 】 基本報酬について
◇検討の方向性
○各事業所の 実績(平均 工賃月額) の 底上げが 図られた ことからも 、平成 27 年社会保障審議会障害者部会報告書の内容を踏まえ、 引き続き、実績に 応じた報酬 体系としてはどうか 。また、 実績としては、引き続き「平均工賃月額」で評価してはどうか 。
○その上で、現行の7段階の報酬区分において、 下位3区分に8割近くの 事業所(特に「1万円以上2万円未満」の区分には4割以上の事業所)が いることを踏まえ 、よりきめ細かく実績を反映するため、7段階の各区分における実績の範囲(「平均工賃 月額1万円 以上2万円未満」等)の見直しを検討してはどう か 。
○一方で、障害者本人や関係者の声、地域において就労継続支援B型が果たしている役割等の実態を踏まえると、「平均工賃月額」だけでは利用者 の就労支援 ニーズや事業所の支援の実態を反映することが 難しい側面 もあることから、「平均工賃月額」に 応じた報酬体系のほかに別 の報酬 体系の創設に ついても検討してみてはどう か。【論点2 】 多様な就労支援ニーズ への対応について
◇検討の方向性
○(再掲)各事業所の実績(平均工賃月額)の底上げが図れたことからも、平成 27 年社会保障審議会障害者部会報告書の内容を踏まえ、 引き続き、実績に応じた報酬体系としてはどうか 。また、 実績としては、引き続き「平均工賃月額」で評価してはどうか 。
○その上で、多様な 就労支援 ニーズ への対応については 、今後 も 引き続き支援ニーズが増える可能性が高いことを 踏まえ、「 平均工賃月額」に 応じた報酬体系と は別の報酬 体系に ついても検討してみてはどうか 。
○例えば、 現行の「平均工賃月額」に応じた報酬体系のほかに、利用者の生産活動等への参加等を支援したことをもって一律の評価をする報酬体系を新たに創設するなど、報酬体系の類型化を 検討してみてはどうか 。なお、検討に当たって、類型化 により新たに創設される報酬体系の単価水準 等については、平成27年社会保障審議会障害者部会報告書の内容 を十分に踏まえ、「 平均工賃月額」に 応じた報酬体系のものとバランスを取って設定 する必要が あるのではないか。 P49
※どちらの体系であっても障害者本人の希望と能力・適性に応じて一般就労への移行を促進
【論点3一般就労への移行の促進について
◇検討の方向性
○就労継続支援においても障害者 本人の希望と能力・適性に応じて一般就労への移行を実現して いくべきとの 観点から、 引き続き就労移行支援体制加算により移行実績等に応じた評価をすることとし、更なる評価も検討してはどうか 。
○また 、 就労継続支援から就労移行支援に送り出した場合について も 、一般 就労への移行に向けて 次のステップに上がったとして一定の評価をすることも検討してはどうか 。
○併せて、就労移行支援と同様に、就労継続支援についても、一般就労への移行の更なる促進を見込み、 作業療法士を福祉専門職員配置等加算における有資格者として新たに評価することを検討してはどうか 。
○(再掲 就労移行支援)事業所において、就労支援の中心的な役割を担う「 就労支援員」について、同一法人内の就労継続支援事業所や就労定着支援事業所との就労支援ノウハウの共有や人材利活用の観点から、常勤要件を緩和し、常勤換算による配置も可能とすることを検討してはどうか 。

就労系サービス(横断事項)に係る報酬・基準について
【論点1 】 新型コロナウイルス感染症 の影響 を踏まえた実績算出について
○新型コロナウイルス感染症への対応に当たり 、各事業所 とそこを利用する障害者への影響をできる限り小さくしていくことが重要である。このため、今年度(令和2年度)における 各サービスの 実績への影響を踏まえ、 令和3年度の報酬算定に係る実績の算出については、「令和元年度又は令和2年度の実績を用いないことも可能(就労継続支援については平成 30 年度の実績を用いることも可能)」とする柔軟な取扱いを検討してはどうか 。
○また、令和4年度以降 の取扱いに ついては、その時の状況を踏まえ、改めて対応 を検討する こととしてはどうか 。
【論点2 】 在宅でのサービス利用の要件等について
○ICTやロボット 等の技術革新に加え、新型コロナウイルス感染症への対応として、企業においてオンラインでの採用活動の導入やテレワーク実施の機運が高まることが予想される。このため 、就労移行支援・就労継続支援についても 、新たな生活様式の定着を見据え、障害者本人の希望や障害特性を踏まえつつ、 在宅で のサービス利用 を更に促進するため、利用要件の緩和を検討してはどうか 。
○具体的には、現在、新型コロナウイルス感染症への対応として、 令和2年度中に限って臨時的に要件緩和している内容を、令和3年度以降は常時の取扱いとして引き続き実施することとしてはどうか 。

【論点3 】 施設外就労について

等が出されています。
 今後具体的にどのような内容で反映されるのか十分注意が必要です。