大阪障害者センター 壁ニュース

障害者福祉サービスの行方は?~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム課題・論点整理③!~

「壁ニュース」テキスト版 2020/10/07

どうなる障碍者福祉サービスの行方?
~障害福祉サービス等報酬改定検討チーム課題・論点整理③!~

報酬改定検討チームは、10/5、16回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン会議)」を開催しました。
今回は、「障害児通所支援等」の内容が紹介されました。
 報告資料での課題等は以下の通りです。
1、児童発達支援に係る報酬・基準
○ 児童発達支援センターと比較して、その他の事業所は収支差率が高いという指摘について、どう考えるか。
○ 基本報酬の定員区分が変わることによる差が大きくなることについて、どう考えるか。
※ 児童発達支援センターにおいて、より支援が難しい児童を受け入れ、専門職を加配した場合の評価については、「障害児通所支援(共通事項)に係る報酬・基準について」において別途検討。
◇方向性
○ 経営実態調査における定員規模別の平均収支差率なども踏まえ、基本報酬の見直しを行ってはどうか。

2、放課後等デイサービスに係る報酬・基準
○ 支援の必要性が適切に評価される報酬の在り方についてどのように考えるのか。
○ その際、平成30年度報酬改定及び経営実態調査の結果を踏まえつつ、質の向上を図るための方策も検討していく必要があるのではないか。
◇方向性
〇現在の事業所ごとの区分1・2の体系を廃止し、共通的な基本報酬を土台に、ケアニーズの高い障害児を受け入れた際の加算を充実させ、更に支援に必要な人員配置について加算で評価していく方向としてはどうか。
○ また、定員区分ごとの報酬単価について、経営実態調査の結果を踏まえつつ、見直しを検討してはどうか。
○ 放課後等デイサービスの従業者の基準について、専門性及び質の向上に向けて、一定期間の経過措置を設けた上で、現行の「障害福祉サービス経験者」を廃止し、保育士・児童指導員のみに引き上げてはどうか。
※ 上記の報酬改定における対応と併せ、質の向上を図るためのガイドラインの改定や、総量規制に実効性を持たせるための方策について実施状況等を把握したうえで、研究を進めることも検討。
【論点2】放課後等デイサービスの対象拡大
○ 平成30年地方分権改革推進提案を踏まえ、専修学校・各種学校に通う児童を放課後等デイサービスの対象に加えることについて、どう考えるか。
◇方向性
○ 提案自治体の意見にもあるとおり、学校教育法第1条に規定する「学校」に在籍するか、専修学校又は各種学校に在籍するかによって、障害のある児童への療育の必要性は変わりないと考えられるのではないか。一方で、放課後等デイサービスは、総合的な教育を行う機関としての学校と連携し、学校教育と相まって障害児の自立を促進するものとして位置付けられてきた点も考慮する必要があるのではないか。
○ これらの点や、調査研究の結果も踏まえ、専修学校又は各種学校に通う児童を放課後等デイサービスの対象に加えることについて、どう考えるか。
【論点3】放課後等デイサービスの提供時間等に合わせた報酬単価の設定
○ 実際のサービス提供時間等に合わせた基本報酬単価を設定することについて、どう考えるか。
○ 一方、短時間の支援と長時間の支援のどちらを高く評価すべきかは、一律に判断することができない(※)中で、実際のサービス提供時間の長さに応じて基本報酬単価を設けることについて、どう考えるか。
※ 長時間生活全般にわたり集団で療育する方法と、短時間で個々の障害児に応じて個別に療育する方法を比較したときに、どちらを高く評価すべきかを判断することは困難。
○ 個々の利用者について、実際にサービス提供を受けた時間に応じて報酬を算定することとした場合に、一人一人の実際のサービス提供時間に基づき報酬を請求することになると、請求事務が繁雑になり、事業所の事務負担が増加する点について、どう考えるか。また、療育の必要性の有無にかかわらず長い時間の支援が増えること等が想定されるが、どう考えるか。
◇方向性
○ 上記の論点も踏まえ、実際のサービス提供時間に合わせた基本報酬を設定することについては、関係者の意見を聞きつつ検討することとしてはどうか。
【論点4】放課後等デイサービスの送迎加算
○ 放課後等デイサービスは、対象が子どもであることから、通所時の安全に不安があることを踏まえた上で、どう考えるか。
◇方向性
○ 放課後等デイサービスの送迎については、対象が子どもであり、実績を見ても知的障害児の利用が多く、通所に当たっての安全面を十分に考慮することが必要であることから、障害児の自立能力の獲得を妨げないように配慮をすることなどを再度周知しつつ、今回の報酬改定では送迎加算の現行の枠組を維持することとしてはどうか。

3、障害児通所支援(共通事項)に係る報酬・基準
【論点1】家族支援の評価のあり方について
○ 質の高い支援のためには家族支援による保護者との緊密な連携が重要であるが、家庭連携加算・訪問支援、特別加算・事業所内相談支援加算の算定状況が少ないため、これらの評価を検討・整理することについて、どう考えるか。
◇方向性
○ 訪問支援特別加算(連続5日利用がない児童が対象)は、ほぼ算定がされていないこと、またその算定内容については家庭連携加算の算定内容で評価することが出来ると考え、家庭連携加算に統合してはどうか。
○ 事業所内相談支援加算は、個別の相談援助だけではなくグループでの面談等(ペアレントトレーニングなどを想定)も算定できるようにした上で、加算額を見直してはどうか。また、現行は児童の利用の同日でなければ算定できないという運用をしてきたが、相談利用の利便性や相談のプライバシーを考慮し、児童の利用日と別日でも算定可能としてはどうか。
【論点2ー1】児童の特性に応じた加算の創設
○ 予防的観点からも、ケアニーズの高い障害児への支援を充実させることについて、どう考えるか。
◇方向性
○ 現在、放課後等デイサービスに導入されている、指標該当児の判定スコアを用いて一定点数以上に該当する障害児(要支援児童(仮))を受け入れた場合に、児童発達支援、放課後等デイサービスにおいて評価してはどうか。
○ 指標該当児の判定スコアを用いる際に、判定のバラツキを防ぐため、留意事項等を設けてはどうか。
【論点2ー2】児童の特性に応じた加算の創設
○ 要保護・要支援児童を受け入れた際の家庭との関わりや、心理的に不安定な児童へのケアの負担、支援に必要な関係機関との連携を評価することについて、どう考えるか。
◇方向性
○ 要保護・要支援の児童(児童相談所や子育て世代包括支援センター等からの依頼、要保護児童対策地域協議会の対象児などを想定)を受け入れて支援したときの加算を創設してはどうか。
【論点3】児童指導員等加配加算の見直しについて
○ 児童発達支援の「児童指導員等加配加算」について、センター・センター以外の事業所のアンバランスをどう考えるか。また、児童発達支援・放課後等デイサービスともに、論点2-1及び2-2において、ケアニーズの高い児童に対する支援について、加算で評価する方向であることとのバランスをどう考えるか。
○ 専門的なケアを要する児童を受け入れて、専門的な支援をしている事業所を評価することについて、どう考えるか。
○ 聴覚障害児を支援する人員を評価することについて、どう考えるか。
◇方向性
○ 児童発達支援・放課後等デイサービスともに、「児童指導員等加配加算」はⅠまで(1名分)とした上で、ケアニーズの高い児童に対する支援に要する人員は、児童に着眼した加算(論点2-1及び2-2 )で手当することとしてはどうか。
○ さらに、機能訓練や適切なケアを要する児童に対応するため、専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・公認心理師等)を加配した場合には「専門的支援加算(仮)」として手当することとしてはどうか。
○ また、「児童指導員等加配加算」の対象資格に、手話通訳士・手話通訳者を追加してはどうか。
【論点4】看護職員の基準人員への算入について
○ 少数の医療的ケア児を支援する事業所等が看護職員の配置を柔軟に行えるよう、看護が必要な場合は算定に必要となる従業者の員数に看護職員を含めてよいとすることについて、どう考えるか。
◇方向性
○ 医療的ケア児の受け皿となる事業所を増やすためにも、現行の機能訓練担当職員の配置要件と同様に、看護が必要な場合は算定に必要となる従業者の員数に看護職員を含めてよいこととしてはどうか。
○ この場合でも、その他の児童発達支援や放課後等デイサービスについては、機能訓練担当職員を配置する場合と同様に、半数以上が児童指導員又は保育士であることとしてはどうか。
※ 児童発達支援センターについては、児童指導員及び保育士をそれぞれ1人以上配置することとしており、機能訓練担当職員の数を算定に必要となる従業者の員数に含める場合でも、児童指導員又は保育士が半数以上であることの要件は設けていないが、児童指導員及び保育士を確保するため、機能訓練担当職員及び看護職員を配置する場合でも、児童指導員及び保育士を半数以上とする。
※ 算定に必要となる従業者の員数に含めた看護職員については、看護職員加配加算の対象としない。

4、医療的ケアが必要な障害児に係る報酬・基準
【論点1】医療的ケア児に対する支援の直接的な評価について
○ 障害福祉サービス等報酬における医療的ケア児の直接的な評価方法として、厚生労働科学研究において開発された医療的ケア児のための判定基準案を導入することについてどう考えるか。
※平成30年度障害福祉サービス等報酬改定において新設された障害児通所支援の看護職員加配加算のための評価スコアに新たに「⾒守りスコア」を設けた上で、幾つかの項目を追加及びスコアを修正した医療的ケア判定基準案を作成し、医療的ケア児に関わる11の関係団体にヒヤリングした。それらの意⾒を参考に、研究班で検討した上で医療的ケア判定基準案を確定した。
◇方向性
○ 医療的ケア児については、現行の障害児通所支援の報酬体系における「重症心身障害児」と「それ以外」に加えて、重心以外の医療的ケア児を直接評価する判定基準案を活用して「医療的ケア児」の区分を創設してはどうか。
○ 仮に「医療的ケア児」の区分を創設する場合、判定基準のスコアの点数に応じて段階的な評価を行うことを検討してはどうか。
【論点2】看護職員加配加算の見直しについて
○ 看護職員加配加算の判定スコアについても、現行の判定スコアに変えて、新たな判定基準案のスコアを導入することについてどう考えるか。
○ 現に医療的ケア児の利用を受け入れていても、一般の事業所では年間を通じて1人の要件を満たせないこと、重心型の事業所では、定員5名のうち1人でも8点に満たない児童が含まれると加算が算定できない状況を踏まえ、医療的ケア児のスコアの点数及び人数のカウントの方法等の算定要件※についてどう考えるか。
◇方向性
○ 看護職員加配加算の判定スコアについても、新たな判定基準案のスコアを導入してはどうか。
○ 看護職員加配加算の算定要件として、
・一般の事業所の算定要件については、児童のカウント方法として判定基準案に該当する医療的ケア児に一定量以上のサービス提供があることをもって加算を算定できる。
・重心型の事業所の算定要件については、各児童のスコアの合計点数を満たすことで算定できる。
とするなど、実態に則した要件の見直しを図ってはどうか。
注)論点1における医療的ケア児の区分を創設した場合、医療的ケア児の対応には看護職員の配置が必要になることから、基本単価と加配加算の関係性について整理が必要。
【論点3】退院直後からの障害福祉サービスの利用について
○ 医療的ケア児は、退院直後には医療ニーズに対応するため訪問看護サービスを利用しているが、障害福祉サービスの必要性についてどう考えるか。
○ 障害福祉サービスを必要とする医療的ケア児が退院直後から円滑に障害福祉サービスを利用する場合、どのようなことが必要と考えるか。
◇方向性
○ 医療的ケア児が障害福祉サービスを利用する場合、現状では、介助の必要性や障害の程度の把握のために「5領域11項目」の調査を行うこととしている。しかし、NICU等から退院し在宅生活をスタートする時期から乳幼児期(特に0~2歳)の医療的ケア児については、自治体職員による「5領域11項目」の調査のみでは、通常の発達の範囲として介助を要しているのか、医療的ケアの原因である内部障害等により通常の発達を超える介助を要する状態であるのか、判断が難しい。
○ こうした自治体における障害児の支給決定事務の課題を踏まえ、障害の程度の判断にあたっては、医療的ケアの新スコア等における、医療的ケアの原因である内部障害等により通常の発達を超える介助を要する状態にある旨の医師の判断を活用することも考えられるのではないか。

 次回は、10/12に開催され、施設入所・訪問系等が議論される予定です。