大阪障害者センター 壁ニュース

新年度報酬改定 障害福祉関係1.12%増~年明けの能登大災害への対応は~

「壁ニュース」テキスト版 2024/01/17

新年度報酬改定 障害福祉関係1.12%増
~年明けの能登大災害への対応は~


 新年から、能登大地震・羽田空港事故など本当に大変な事件や災害が頻発し、深刻な状況が進んでいますが、こうした中、新年度予算案が、配信されています。
 ただ、能登大震災への対応も急務の上、自民党の「裏金問題」等で、国会審議がどうなるのか、流動的な状況もありますが、一応、昨年末に、政府の予算案が紹介されるとともに、「報酬改定の方向性」も取りまとめられる中、新年度の政策がどう定められていくのか注目されるところです。

 政府は昨年12.22午後、2024年度予算案を閣議決定する。一般会計総額は112兆700億円程度で12年ぶりに前年度から減少する。23年度に新型コロナウイルス対策などで5兆円を積んだ予備費は物価・賃上げ対応として1兆円に圧縮する。社会保障費は最大の37兆7200億円ほどに膨らんでいます。
 24年度予算案は23年度の114兆3812億円から2兆3100億円ほど減り、過去2番目の規模になる。当初予算案の減額は12年度以来となっています。
 当時は基礎年金の国庫負担の一部などを一般会計に計上しなかったことや、東日本大震災の復興関連の予算を特別会計に組み入れたことで見かけ上、一般会計の総額が減っています。(能登地震を受けて予備費計上が行われる予定です。)
 24年度の予算減額の主因は予備費の縮小だ。物価高対応と賃上げ促進に目的を絞った予備費を1兆円用意する。21年度以降、新型コロナの感染拡大を受けて当初予算段階で3年連続で5兆円を積んでいた。流行が収まったのを受けて縮小する見込みです。
 防衛費増額のため蓄える防衛力強化資金への繰り入れがない要因も大きい。23年度予算は防衛費の大幅増額の初年度にあたり、3.4兆円を繰り入れています。
 国債の返済や利払いにあてる国債費は27兆100億円程度で過去最大となる。23年度当初予算の国債費は25兆2503億円でした。
 24年度予算案では国債費の想定金利を1.9%に設定することが影響する見込みです。17年ぶりの引き上げとなる。日銀の黒田東彦前総裁の下での大規模金融緩和を踏まえて23年度まで7年連続で1.1%に据え置いていました。
 医療や介護、年金に使う社会保障関係費や防衛費も過去最大になる。社会保障費は高齢化で膨張が続き、前年度比で2%ほど多い37兆7200億円程度になる見込みです。
 24年度は少子化対策を集中的に取り組む3年間の初年度にあたる。児童手当の所得制限撤廃などのための予算を確保する見込みです。
 
【厚労省関係】
・社会保障関係費は、335,046億円 +6,734億円+2.1%増となります。
なお、主要施策としては、
○今後の人口動態・経済社会の変化を見据えた保健・医療・介護の構築
○構造的人手不足に対応した労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進
○包摂社会の実現
をあげています。
※働く人におけるメンタルヘルス対策の促進
・働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
・健康管理アプリ
※長時間労働の抑制と選択的週休3日制度等の普及促進に向けた支援
・働き方改革推進支援助成金

○障害保健福祉部関係
◆障害福祉サービス
1兆 6,156億円 +921 億円、+ 6.0%
【 主な事項】 ※括弧内は令和5年度予算額
■障害福祉サービス等の確保、地域生活支援などの推進
・良質な障害福祉サービス等 の確保 (1兆5,651億円(1兆4,728億円)
○障害福祉サービス報酬改定への対応
障害福祉分野の人材確保のため、処遇改善を行うとともに、障害者が希望する地域生活の実現に向けて、 介護との収支差率の違いも勘案しつつ、新規参入が増加する中でのサービスの質の確保・向上を図る観点から、経営実態を踏まえたサービスの質等に応じたメリハリのある報酬設定を行うことにより、改定率は全体で+1.12%とする。
 なお、改定率の外枠で処遇改善加算の一本化の効果等があり、それを合わせれば改定率+1.5%を上回る水準となる。
<改定の基本的な方向性>
Ⅰ.障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり
1 障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実
2 医療と福祉の連携の推進
3 精神障害者の地域生活の包括的な支援
Ⅱ.社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応
1 障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築
2 障害者の多様なニーズに応じた就労の促進
Ⅲ.持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現のための報酬等の見直し
○補装具費の基準額(上限額)の見直し対応
補装具の支給における基準額
(上限額について、近年の材料費等の変化を加味し、補装具事業者の実態も踏まえ見直しを行う。また、障害のあるこどもの日常生活と成長に欠かせない補装具費支給制度の所得制限を撤廃する。
・障害福祉サービス事業所における人材確保や処遇改善の促進等のための支援体制の強化 (38百万円(新規)
事業所における報酬手続き等の事務サポート、広報、人材確保対策等を各都道府県レベルで総合的に支援する体制を整備することにより、令和6年度報酬改定の円滑な施行や、事業所の事務負担の軽減、報酬算定の適正化、処遇改善の促進等を図る。
・意思疎通支援事業等による 地域生活支援の推進 (505億円(504億円)
・障害福祉サービス事業所等の整備等の推進 (44.7億円(44.6億円)
・障害者の情報アクセシビリティ・コミュニケーション支援(12.8億円(12.8億円)
手話通訳者をはじめとする意思疎通支援従事者の養成・派遣について、全国実施に向けて実施自治体の増加等を推進するとともに、ICT機器の利用支援の取組、読書環境の整備の促進等を行う。
■地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策等の推進
・障害者の地域生活の支援体制の充実
①基幹相談支援センターの設置促進及び機能の充実・強化 地域生活支援事業等の内数
②都道府県による地域生活支援体制の整備のための市町村支援の促進【新規】32百万円
③国による地域生活支援体制整備の支援11百万円※会議の設定
・障害者等への良質かつ適切な医療の提供2,591 億円(2,527億円)
心身の障害の状態を軽減し、自立した日常生活等を営むために必要な自立支援医療(精神通院医療、身体障害者のための更生医療、身体障害児のための育成医療)等を提供する。また、自立支援医療の利用者負担のあり方については、引き続き検討する。
・障害福祉分野におけるICT・ロボットの導入による生産性向上や経営の協働化等を通じた職場環境の改善
・成年後見制度の利用促進のための体制整備 地域生活支援事業等の内数
「第二期成年後見制度利用促進基本計画」(令和4年3月25日閣議決定)を踏まえ、成年後見制度の利用に要する費用の補助や制度の普及啓発等の取組を推進する。
・精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 8.4億円(7.6億円)
(1)精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築【拡充】8.4億円(7.6 億円)
(2)精神科救急医療体制の整備18億円(18億円)
(3)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備の推進192億円(192億円)
(4)アルコール健康障害対策・薬物依存症対策・ギャンブル等依存症対策の推進
(5)高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築の促進1.3億円 (1.5億円)
(10)虐待対応体制整備の支援【新規】41百円
改正精神保健福祉法において、令和6年4月から、精神科病院の業務従事者による虐待を受けたと思われる患者を発見した者は速やかに都道府県・指定都市に通報することが義務付けられるため、 精神科病院に対する指導監督権限を有する都道府県・指定都市において、虐待事案に対し適切な対応をするために必要な経費について財政的支援を行うことにより、虐待の防止や障害者の保護等の対応ができる体制を整備する。
■発達障害児者の支援施策の推進
・強度行動障害を有する者に対する地域支援機能の強化4.3 億円(3.9億円)
■障害者に対する就労支援の推進
・雇用施策と福祉施策の連携による重度障害者等の就労支援 7.7億円( 7.7億円)
・工賃向上等のための取組の推進 5.8億円(7.0億円)
・障害者就業・生活支援センター事業の推進7.9億円 (7.9 億円)
 就業に伴う日常生活の支援を必要とする障害者に対し、窓口での相談や職場・家庭訪
問等による生活面の支援などを実施する。
・障害者の能力や適性等に合った一般就労や就労系障害福祉サービスの選択を支援する取組の推進
※就労の開始・継続段階の支援における地域連携の実践に関するモデル事業40百万円
就労アセスメントの手法を活用して必要な支援を行う新たなサービス(就労選択支援)の円滑な運用に資するよう、多機関連携の在り方などをはじめとした各地域の実情に応じた効果的な実施方法等の構築に向けて、モデル的な取組を通じて課題やノウハウを収集する。 また、就労選択支援の開始に向けたマニュアル等の資料作成を行う。
■東日本大震災からの復旧・復興への支援
○令和5年度補正予算における主な施策は以下の通り。
・障害福祉サービス事業所における福祉・介護職員の処遇改善 126億円
・障害福祉等分野における食材料費・光熱水費高騰への支援 重点支援地方交付金の内数
・障害福祉分野へのICT ・ロボットの導入等による生産性向上や経営の協働化等を通じた職場環境の改善14億円
・障害福祉分野における人材の確保を図る取組支援4.1億円
・社会福祉施設等の耐災害性強化、災害復旧への支援等107億円
・障害者に対する就労支援の推進4.5億円

【子ども家庭庁】
・令和6年度のこども家庭庁予算は、「こども未来戦略」に基づくこども・子育て政策の抜本的な強化に向け、大きな一歩を踏み出す予算。
・一般会計と特別会計の合計は、前年度比0.5兆円増(+10%)の5.3兆円。
これに育児休業給付の令和4年度からの増分を加えた額は、令和4年度のこども家庭庁予算(4.7兆円)との比較で0.7兆円の増加(+15%)。

令和6年度予算における加速化プランの主な施策
①児童手当の抜本的拡充
・所得制限の撤廃、高校生年代への支給対象拡大、第3子以降3万円
・児童手当等交付金 1兆5,246億円(+3047億円)
②出産・子育て応援交付金(経済的支援)
・妊娠届時5万円相当、出産届時5万円相当の経済的支援(委託費含む)・出産・子育て応援交付金
③出産・子育て応援交付金(伴走型相談支援)624億円(+254億円)
・妊娠から出産・子育てまで、身近な場所で相談に応じ、ニーズに応じた支援につなげる
④高等教育費の負担軽減
・対象を多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収約600万円)に拡大
・大学等修学支援費 5438億円(+127億円)
⑤4・5歳児の職員配置基準の改善
・30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設ける・子どものための教育・保育給付交付金
⑥保育士等の処遇改善 1兆6,617億円(+669億円)
・令和5年人事院勧告を踏まえた対応を実施(人件費の改定率は+5.2%)
⑦放課後児童クラブの常勤職員配置の改善
・常勤の放課後児童支援員を2名以上配置した場合の補助基準額を創設
・子ども・子育て支援交付金2074億円(+288億円)
⑧多様な支援ニーズへの対応
・こどもの貧困対策・ひとり親家庭の自立促進
・児童虐待防止・社会的養護・ヤングケアラー等支援
・障害児支援、医療的ケア児支援等

○成育環境にかかわらず誰一人取り残すことなく健やかな成長を保障する
(1)こどもの貧困対策・ひとり親家庭の自立促進等 1673億円(1665億円)
児童扶養手当の拡充(所得制限の見直し、多子加算の増額)
児童扶養手当の受給に連動した支援策の要件緩和
ひとり親家庭の就業支援・自立支援の強化
養育費確保支援の強化
(2)児童虐待防止・社会的養護・ヤングケアラー支援等3829億円の内数(3538億円の内数)
「こども家庭センター」の全国展開に向けた取組(再掲)
一時保護施設や児童養護施設等の環境改善
こども若者シェルターの確保による相談支援等の実施
家庭養育環境を確保するための里親委託等の推進
 支援につながってこなかった虐待経験を持つ若者等への支援
 ヤングケアラー相談支援体制の充実
(3)障害児・医療的ケア児支援等4989億円の内数(4813億円の内数)
質の高い支援の提供
地域社会の参加・包摂の推進
地域の支援体制の強化
●早期からの切れ目のない支援の推進
乳幼児健診、親子教室、保育所などの身近な機会・場所での発達相談を充実
 支援人材の育成促進により地域の障害児支援事業所の支援技術を向上
●医療的ケア児等の預かり環境の整備
医療的ケア児や重度心身障害児を一時的に預かる環境を整備
●こどもの補装具費支給制度の所得制限の撤廃
障害のあるこどもの日常生活と成長に欠かせない補装具費支給制度の所得制限を撤廃
●障害児・医療的ケア児の地域での受入環境の整備
児童発達支援センターによる専門人材の巡回支援や看護師等の配置促進により、保育所等の受入体制を強化
習い事や地域のイベントなどに専門人材を派遣し、様々な場での受入環境の整備を促進
地域の支援体制の強化
●児童発達支援センター等の強化
地域の障害児支援の中核となる児童発達支援センターや医療的ケア児支援センター等の体制や支援機能を強化
(4)こどもの自殺対策0.6億円(0.6億円)
「こどもの自殺対策強化プラン」に基づく取組の推進


 なお、合わせて、「報酬改定の方向性」も発表されていますので、この内容等に対しても十分な注目が必要となります
 こうした内容についても各団体等が分析評価等を行っていますので、こうした情報にも注目が必要となります。
 ただ、能登大震災という未曽有の大災害もある中で、今求められる国の施策をどうしていくのか、総合的に注視していく必要がありそうです
 
引き続き、様々な情報を配信してまいります。